奏歌 翔音 2020-08-14 23:38:38 ID:5762b1903 |
|
通報 |
>如月知佳さん
知佳の心の中の動揺や焦り。
それらが手に取る様に理解出来る黄泉の表情は変わらない。
戦闘が始まってから知佳を観察する様な視線。
二人の実力を試す様な戦闘スタイル。
だが、目の前の敵を倒す事に全力を注ぐ二人はそんな黄泉の真意に未だに気付く事は無かった。
(【仕方ない。もう少しヒントが必要か。】)
心の中で苦笑する黄泉。
そんな時、知佳から目にも止まらない速さで発勁が繰り出される。
身体強化を限界まで施した知佳からの発勁。
それは並の実力者では見切る事はおろか、凌ぐ事さえ難しい筈だ。
………それなのに
【フム、限界までの身体強化を施したか。中々に良い筋をしている。】
知佳の繰り出される全ての発勁がまるで柳が舞うかの如く全て紙一重で黄泉にいなされていた。
顔色に焦り一つ無く笑顔を崩さない黄泉の顔を見ればどれだけ余裕を残しているかなど明らかである。
その動きは正に流水の如し。
黄泉自身スピードを出している訳では無い。
寧ろ速さという点では知佳の方が圧倒的に速く行動している。
では何故全ての発勁が当たらないのか。
一言で言ってしまえば動きに全く無駄が無いのだ。
発勁が当たる刹那、攻撃を避ける為に移動するのではなく、次の行動に移りやすい方向へ最小限の移動を繰り返しその結界攻撃をグレイズしながらいなしている。
まるで知佳の心の中が読まれているのではないか、そう錯覚してしまう程に優雅な動作をしていた。
言うだけなら簡単なのかも知れない。
だが身体強化を施した知佳の猛攻を前にそれを実行する事が如何に困難なのか、戦いに身を置く者であればそれだけでも黄泉の実力の一端が感じ取れる事だろう。
(『おかしい。………何故攻撃を仕掛けて来ない。』)
一方、知佳から霊力を流し込まれ少しだけ持ち直した禁忌は黄泉の一連の行動に違和感を覚えていた。
そう、黄泉は自分から殆ど攻撃を仕掛けていない、という事に禁忌は気付いたのだ。
実力差を鑑みれば禁忌の行動を咎めに来た黄泉が二人を制圧する事など容易い筈だ。
それをしないという事は
【【妖】よ。少しは頭が冷えたであろう。そろそろ冷静に話を聞く気になったか?】
そんな違和感を感じていると、黄泉はいなしていた知佳の飛び交う発勁を難なく止める。
両手で知佳のそれぞれの両手首を掴んで抑えているのだ。
知佳も身体強化をした上での全力を出している筈だ。
だが繰り返された発勁はそれ以上進む事は無く完全に黄泉に抑え込まれていた。
(『っ!?やはりそうか。黄泉は………。』)
黄泉のその言葉で自身の仮説に確信を持つ禁忌は知佳を止めようと呼び掛けた。
『知佳っ!お願いだっ!少しだけで構わないっ!攻撃を止めて黄泉の話を聞いてくれっ!』
極黒魔に襲われたダメージの為に知佳に咄嗟に駆け寄れず、その場から必死に知佳へと呼び掛ける禁忌。
知佳は黄泉を禁忌の敵だと判断して全力で攻撃さしている。
その勘違いを一刻も早く正さなければならない。
| トピック検索 |