奏歌 翔音 2020-08-14 23:38:38 ID:5762b1903 |
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>斑鳩刹那さん、十夜さん
『ええっ!!ちょ……ちょっと刹那っ!?何もそんなに泣かなくても………ど、どうしよう……。』
刹那がこれ程までに泣きじゃくるとは予想していなかったのか。
普段とは一変してオロオロしながら縋る様にユーリは視線を右往左往させていた。
「貴女まで取り乱してどうするんですか。頼りない彼氏ですね全く……。」
戦闘時や普段とは打って変わっての情けない姿に紅葉は若干の溜め息を漏らすとポケットからハンカチを取り出し刹那へと歩み寄る。
「ホラ、此方を向けて下さい。綺麗な顔が台無しですよ。」
刹那の肩に手を掛け正対させると紅葉は手慣れた手付きで拭き取っていった。
若干距離感が近い気もするが特に紅葉は気にする事なく刹那の顔を吹いていく。
次第に綺麗に拭き取られていく涙。
そして程なくして紅葉の手が止まる。
「……良し。綺麗になりましたよ。さて、そろそろ歓迎会を始めませんか?席に案内しますよ。………『姉さん』。」
さり気なく腕を組み刹那を席へと先導する紅葉。
その顔は若干赤みがかっているが見間違いでは無いだろう。
『あっ、抜け駆けはズルいよ紅葉っ!刹那は私が席に案内するんだからっ!ホラ刹那。』
刹那を取られる、とでも勘違いしたのだろうか。
まるで張り合う様に刹那の空いた腕に腕を絡めるユーリ。
傍から見れば二人の美人に腕組みされているという羨ましい光景なのだろうが内容が内容だけに刹那は素直に喜ぶのだろうか………。
「コラ二人共。じゃれ合いは程々にして料理の配列を手伝ってくれ。全く十夜を見習ったらどうだ?………それに主賓が困るから二人揃って刹那を捲し立てるんじゃない。」
「母さん。しかしユーリg……」
『桐恵。だって先に紅葉g……』
見かねた桐惠は二人を止めるが二人の取り合いは止まるどころかヒートアップする一方。
と、そんなユーリと紅葉の両名の額に伸びる一人の両手があった。
その左右の手は両名の額に指が触れる手前で停止すると人差し指が親指の根本で丸まる。
「…………(・・;)」
『…………(・・;)』
額の前で停止したその手を認識した二人は冷や汗を流しながらそれまでの言い争いを嘘の様に停止させた。
そして次の瞬間
ガンッ!ゴンッ!
途轍もなく鈍い音の2発のデコピンが二人の額にクリーンヒットしたのだった。
【………桐恵の言葉が聞こえなかった様だな。なら余からもう一度忠告だ。言い争いも程々にせよ。】
デコピンから決して聞こえることの無い異常な音がするほどの破壊力のデコピンを放ったのは黄泉。
対する制裁のデコピンを受けた両名は計り知れない程の瞬間的激痛にのたうち回っている。
『……い……痛……い……。……め、目が回る………。』
片やユーリは脳天にかなりの衝撃が伝わり揺らされた事が原因か、目を回していた。
「………すみません。少々………取り乱してしまいました。…………ですが、一つだけ言わせて下さい黄泉。………もう少しだけでも力加減が何とかならないのですか?」
【ムッ、許せ。少々力が弱すぎたか?余とした事が加減を加え過ぎた様だな。気をつけよう。】
「もう少し力を弱めて欲しいと言っているのですよっ!!」
天然なのか、それとも狙って**ているのか。
黄泉の回答に鋭いツッコミを入れる紅葉だがデコピンのダメージからか気迫はあまり感じられなかった。
【そもそもコレは反省の意を込めての『愛の鞭』という奴に過ぎん。元を辿れば自業自得ではないか。】
「ぐっ、そ……それは………。」
ぐうの音も出ない程の正論に紅葉は言葉が詰まる。
パンパンッ!!
そこに仲裁の意味での手鳴らしが響き渡る。
『そこまでにしておかんか。今宵は刹那を歓迎する為の祝福の意味での宴。辛気臭い雰囲気は御法度であろう?』
「……確かにそうですね。黄泉、刹那。申し訳ありませんでした。直ぐに料理を並べましょう。ホラユーリ。貴女も手伝って下さい。」
『ちょ、ちょっと待ってよ………。』
度々黄泉のデコピンを普段から受けているのだろうか。
紅葉もユーリもあっという間に復活し料理の配列に加わるのだった。
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