奏歌 翔音 2020-08-14 23:38:38 ID:5762b1903 |
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>斑鳩刹那さん
『刹那と一緒なら負ける気がしない。』
確かにボーナスステージのボスは当たり判定も小さく手強い。
だがシンクロショットを的確に当てる事が出来さえすれば対処が満更不可能という訳でも無いというのがユーリの感じている印象だ。
ボスの残り体力もあと少しになってきた。
と、そこでユーリはふと思い出す。
このゲームセンターでいつからか恒例というか暗黙の了解となってしまった一つの出来事。
それはユーリが前にこのゲームセンターでこのガンシューティングゲームをプレイした時に遡る。
その時のユーリは1人で二人プレイ、つまり2丁拳銃スタイルでプレイしていた。
その光景を偶然目にした常連のゲーマーは最初ユーリの事を興味深く見ていたものの、その目には何処か上から見下す様なモノがあった。
きっとそのゲーマーは2丁拳銃スタイルを見てただのカッコつけの初心者か何かだと思ったのだろう。
無理もない。
古参の上級者でも命中率を重視し銃を構える際には両手でしっかりと保持するのがセオリー。
ましてやスコアを少しでも伸ばしたいとおもうのであれば尚更だ。
だが………気付いた時には目の前の圧倒的な光景にそのゲーマーは既に言葉を失い釘付けとなっていたのだ。
寸分違わぬ照準に必要最低限のショット。
一つ一つの動作が洗練されており、ただ上手いだけでなくそのプレイには人を惹き付ける何かがあったのだから。
そしてプレイが終わるとそのゲーマーは見た事を知り合いのゲーマー連中に触れ回ったのだ。
それからこのゲームセンターにはある噂が流れ始める事になる。
曰く、この店に週休6日のデビル○ンター現れる、とか。
曰く、リ○ル.テンペストがゾンビハンターを始めた、とか。
そしてユーリの事がその辺りのゲーマーの間で一気に広まると、ユーリのプレイのラストにある事が行われる様になったのだ。
それは………ボスにトドメを刺す際に観客がプレイ中のユーリに一斉にある掛け声を発する。
それに対しユーリはある台詞を返す、という如何にもオタクが喜びそうなやり取りである。
最初は周りに流されるがままにやっていた。
だがユーリも元々そういうオタク行為が嫌いな訳では無く、寧ろそちら側の住民だ。
戸惑いさえ抜けてしまえばどちらかと言えばノリノリで演じてしまう節さえある。
『刹那。トリガーから指を離して。』
ボスの体力が残りあと僅かのところでユーリは刹那に指示を飛ばす。
同時にユーリも射撃を中断する事でシンクロショットが不成立となりボスの体力の減りが停止する。
(『久しぶりにやってやろうじゃないか。』)
そう心に決めるユーリは素早く刹那に一言呟く。
『刹那。今からちょっとした余興が始まるから付き合って欲しい。周囲の観客から掛け声が掛かる。そうしたら私が貴女の手から手を離して貴女の銃を構える手と重なり合う様に私が銃を構えて決め台詞を言う。それを合図にシンクロショットをして欲しい。』
それは刹那からしてみれば意味不明なお願いかも知れない。
だがこのゲームセンターに通うゲーマーにとってもユーリにとってもどうやら重要な事らしい。
それだけ伝えるとユーリは周囲の観客に向かい高らかに声を挙げた。
『今回だけお前達に付き合ってやる。』
「「「「決め台詞を覚えてるか?」」」」
最早ラストでのお決まりのやり取り
そこで大勢の観客からの完全にハモる掛け声がこの場を支配する。
その掛け声がキッカケとなる。
刹那の右側で銃を構えていたユーリは刹那の背中を基点として刹那と背中を合わせる様に体を時計回りに一回転させ刹那の左側へと素早く移動すると同時に刹那の手に添えていた自分の手を離す。
そして回転が終え身体が画面と正対すると共に刹那の構える手と重なり合う様に自らの右手を伸ばし銃口をボスの弱点へと突き付けた。
そして
フィナーレを飾る決め台詞と共に
『JACKPOT!』
とどめのシンクロショットが放たれた。
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