奏歌 翔音 2020-08-14 23:29:50 ID:5762b1903 |
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>斑鳩刹那さん(&東野桜さん)
「あらーバレたかぁ。まぁウロウロしてたのはランランから聞いてたからねぇ。たーだいまポッポちゃん。君の荷物は置いてきて良かったのかい?」
掛けられた声にさほど驚かずケラケラと笑いながら長髪を揺らして女は笑う。バレた、という言い方から刹那さんの予想は正解と言って過言ではない。その隣で蘭花が「セツナー!ごめんよ、放し飼いしてた子が教えてくれて、ハヤテが隠し事したら減給言うんだもん……。」と眉を下げて手を合わせて謝る。その隣で蘭花の傍を離れて刹那さんに近づく大きくなった……否、本来なら、普通の成長ならこの位の女性になっていただろう疾風は声を上げた。
「んで、ポッポちゃんの渾名だったねぇ。____そもそも人間が渾名をつける理由はなんだと思う?特別扱い、区分け、差分。色々言い方はあるだろうけど要は【自分の脳が以下に他人を覚える為】の方法のひとつに過ぎない訳さ。
例えばSpringGirlの場合は名前もそうだが建前と区別する為。glassboyは名前が綺麗な色をしていたから。つまるところただの勘って奴だよ。
というかPigeonGirlだなんて渾名長いしPigeonPigeonうるさいじゃあないか。鳥の名前が着く人間も大量にいる訳だし。だから短く可愛くしてポッポちゃんって訳さ。are you ok?」
長ったらしい割に話は完結。女の気まぐれで決まったという話。その話をしている中蘭花は暇そうにしながら「長いアル。」という不満の顔をしていた。
背後の気配など露知らず。それとも無視か。疾風は月のような笑みを見せるとくるりと足の向きを変える。
「んじゃあ家?HOME?まぁ本部に戻りますかねぇ。ランラーン。情報。あとポッポちゃんの手伝いしたげなぁ。」
「セツナだからいいアルけどハヤテも手伝えばいいアル。」
「僕は天才だからね。わざわざ凡人の荷物を持つ必要性が感じられないし非力な僕が持てる量なんて分かりきってるからね。ほれほれ。」
「見た目が成長したのに中身は子供のままネ。……セツナ、荷物?あるなら手伝うよー!」
疾風の軽い対応に不公平さを呟きながらも蘭花は慣れたように刹那さんの方に近寄り、笑顔を見せた。
先に歩を進める疾風は腕時計型の連絡機器からホログラムのニュースを見て笑う。
「(人間というものは直ぐに大きなものとの衝突を望み、競い合う姿を眺めることを快楽と感じる。単純だねぇ。)」
東野グループの記事や書き方を見て白衣の袖を口元に添えて笑うと数十件の仕事のメール欄に写り、端的に且つ正確に次の支持を大海原グループの各支部に伝達する。
大海原グループは東野グループほどの急成長は見せない。否、しようとはしない。あくまでも【昔からいる大グループ】で収まる様に疾風は操作する。
成長する花を潰す趣味は疾風には無いしかと言って世話を焼くつもりもない。
故にマスメディアの煽り文句に乗るつもりもなければただ疾風は自分のグループが堅牢かつ時に新たな進歩を見せる【崩せない大企業】を保つ事を選ぶ。
仕事の指示を終わらせれば疾風は空を見て「やれやれ、古参というのも難しいねぇ。まぁ?凡人なら、だけどさ。」と呟きながら最後のメールを送る。
宛名は【SpringGirl】。内容は疾風らしく端的だった。
「うちの医療器具を宜しくね。それから、買収した銀行と旅行を是非うちのグループでも利用させておくれ。仲良くしようね、SpringGirl?
さっそくだけど、君と仲良しのランランや僕の部下におすすめの旅行先を教えておくれよ。金に糸目はつけないってね?」
たまには自分の部下にご褒美を。ついでに波乱も起きるといいね。そんなことを考えながらそっとメール欄を閉じた。
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