奏歌 翔音 2020-08-14 23:09:35 ID:5762b1903 |
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>砂金さん ターナさん ディーリスさん 断罪の翼(箱) 大狹 抑圧
「ッ……………………
………分からぬ…我には分からぬのだ…。
我は人の望みを叶えるために生まれた。
我は我を作り出した者の願いを叶える事を望まれた…我の1部となった存在は……
…汝ら正義を名乗る者達へ憎しみを浮かべていた……全員だ、全員汝らを憎んでいた!
なれど…なれど人々は正義を名乗る者達を賞賛していた……その感情に曇りなく…
今汝が残忍、酷く、心の無い殺人鬼と言った…
だが砂金殿は我を助けた……我を捨てず、裏切らず共にここまで助けてくれた…何が違う?
汝らは創造主の望みを叶えようとする我を悪と断じ殺めようとした…砂金は我が悪魔のような存在だと分かっても手を差し伸べてくれた……
何が違うというのだ…!!貴様らと…!砂金が…!
何が悪だ…何が悪い?……結局は一緒ではないか…!
もうなんだっていい…何が正しいかなんてどうでもいい…
この箱がどれほど危険なのかなぞ知らぬ、だが渡す訳には行かぬ。
我は揃える、我が揃える…ただそれだけだ…。
箱を揃え、この箱が望むままに行動する……それならば…それならばこの箱にとっては正しい事となろう…!
……邪魔は…させぬ!我は間違ってない…我は願いを叶える!」
箱がルミナスの体内へ入る…
そして大狹もその体内の箱の中へ入った。
途端にルミナスの魔力が不安定となり大狹の力の影響で全身に亀裂が走った。
浮遊していたルミナスの身体は糸が切れたように地面に落ち倒れ込む…そして身体を起こしたルミナスの表情は今まで見せた歪んだ表情ではなく何処か困惑したような子供を思わせる表情だった。
ターナさんの言う通り砂金さんは殺人を犯したのだろう、命令されるがままに非道な事もしたのだろう。
だがそれはルミナスも同じ事だった。
正義の連中に、そして世界に恨みを持つものが集い、そしてその者達を材料として作り出されたルミナスの思考は、その者達の思考を大きく引き継いでいたのだ。
殺しを悪と認識せず、非道な行いを残虐であると知らずに頭に響く声に従って殺しをしてきた。
ルミナスは純粋に創造主の願いを叶えていた…しかしそれは悪だと言われるものだと今、ハッキリとわかった。
しかし同時に疑問が浮かんだ…ターナさんは砂金さんを悪だと言った…そしてその砂金さんの行動は止めなければならないものだと…正義の存在は言った。
どちらが正しいのか、悪と呼ばれる存在は殺しをする存在だと…なれど正義も殺しをするでは無いか…何が違う?何故悪と呼ばれる存在は許されないのか?
悪と呼ばれる砂金さんは己を助けてくれた、それも何度も。
悪と対照的と言われる正義の存在は己を咎め殺そうとした、悪の存在の行動は止めなければならない、其れが皆のためだと…。
何も分からない…誰を信じればいいのか分からない…。
ルミナスは縋るように箱を揃えることに執着した、それを邪魔するものは排除する。
この箱がそう望むのならばそれが正しいことだと信じた。
まるで半狂乱状態のように…子供が泣き出す寸前のような怒りの表情を浮かべると不安定な魔力を操作し始める。
周囲にはられていた結界は大狹の影響によって甲高い音を響かせながらひび割れ始める。
周囲に漂っていた魔力は一気にルミナスへと戻る、そして首や手首に咲いていた真っ赤な花がその色濃さを増す。
するとその花から無数の真っ赤な蔓のようなものが出現しルミナスの胸部に巻き付く。
そして余った蔓が抑圧を探すようにして地面に着くや否や四方に伸び始めた。
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