酒井 2020-07-23 16:24:32 |
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恋は盲目…か。ふ、可愛らしい事を言うんだな。
腕の中に収まる君も中々に良いと思うのだが……。君の嫌がることはしないと言っただろう
な、!そんなに笑うことも無いだろう…、、半分は冗談じゃない、と?
いいや、構わない。寧ろ君の安否を確認できて良かった。丁度台風もあったからな、君の身に何かあったのでは無いかと心配だった…。
君のその誠実さも好きな所なんだ、そんなに謝らないでくれ。
…!!その、発想は無かったな……。なるほど…そう言う手も…。
勝手だなんてとんでもない、寧ろ俺も君に会って沢山話したい。
平日の早朝と23:00以降なら返信ができそうだ、それでも大丈夫ならいつでも連絡をくれ
どんなものでも構わない、待っているぞ。
まだ乾ききっていなかった血で薄く汚れる麻袋を見、滴り落ちないか心配になりながらも、最後の仕上げに、と床を綺麗に拭く。次に今節丁寧に袋の紐をリボンの形に結ぼうとした所で声がかかった。予想外の問いかけに思わず、紐が手が離れシュルシュルと元の形に戻っていく。「それは…出来ないな」そう一言背を向けて答えながら、またリボン結びに取り掛かる。今度は上手く結べた。
「俺は君の行動にかなり助けられたんだ、礼をしなければ失礼と言うものだろう…」
顔は見えないながらも少々思い出す様に喜びを含ませた声で答える。常人では抱えるだけで精一杯な荷物を片腕で軽々と持ち上げれば、彼の方へと向きなおり
「その後でなら構わないか?」
叱られた子供の様に視線を泳がせていた彼の表情を無下にすることもできず、そう返す。
暫くの沈黙に、何かおかしな事でも言っただろうかと心配になりつつも、指差された方向を見てこくりと頷く。勿論だ、そう返せば扉を開けてからビニール袋を外へと放る。
ふと時計に目がいく。そろそろ丑三時を超えそうだ。
「今日はすまなかった。ありがとう、おかげで助かった。」
すぐ戻って来る。そう一言告げれば。玄関を出、急いでビニール袋を掴み誰にも見られない様に近くに止めてあった車へと積み込む。そして駆け足で彼の元へと戻れば、電話番号が書かれているメモを渡し、「何時でもかけてくれて構わない」と最後にそう告げる。
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