酒井 2020-07-23 16:24:32 |
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あぁ、君のそう言う所が好きなんだ。
しかし、抱きしめる、か……それは抱っこでも大丈夫なんだろうか?
そうなのか?じゃあ今度から「おやすみ、可愛い坊や」と、でも……添い寝…?凄く恥ずかしい気がする、が…それで眠れるのなら……。
それと、すまない…返信が遅れてしまった…。…すまない、ここの所忙しくて覗けて居なかったんだ…
優しい声色で頭を少し乱暴に撫でられれば、一切不満など無さそうに、自分の気を尊重してくれた彼に向け"ありがとう"と緩く口角を上げる。彼をみていると、小さい頃見た年上の従兄か長年の親友を思い出してしまう。そんな自分に苦笑しながら彼と別れ自分がやるべき事をこなしていく。
正直彼がここに現れなかったら今自分はこうして落ち着いて処理をできていなかっただろう。なんなら軽く発狂していたかもしれない。力任せに息絶えた後も馬乗りになって何度も何度も刺していたかもしれない。処理だって杜撰で証拠も大量に残していたかもしれない。
彼には感謝しなければいけない、が、、どう礼をしたら良いものか。
ぼんやりと、"かもしれない"を考えているうちに処理は終わってしまった。
再度、状況を確認し、使った物をビニール袋に押し込んでいると後ろから声がかかる。
「あぁ、丁度終わったところだ」
振り返ると先程見た顔だ。ほっと力を抜きつつ彼の元へと歩み寄る。
あとはアレの片付けのみだ。
「すまないな、アレを君の家に置きっぱだ、床が汚れてしまっただろう。すぐに回収する…」
彼の家の床は無事では無いだろうと心配し申し訳なさそうに眉を下げる。が、玄関が全く汚れていない事に気がつき思わず彼の方を振り返った。アレを運んだ上にこの辺りの掃除までしてくれたんだと言う考えに至れば、申し訳なさそうなそれでいて嬉しそうな声色で、再びありがとう、と口に出す。そしてその直後彼の名前を聞いていない事に気がついた。聞いても良いのだろうか、と散々考えた挙句、自分の名前を告げ、相手の名前を聞こうと首を傾げて問う。彼の返事が返ってくるのか否か少々緊張した面持ちだ。
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