酒井 2020-07-23 16:24:32 |
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わざわざ「嫌がる事はしない」って言うあたりがお人好しだよなぁ、お前。…大丈夫だ、ちゃんとわかってる。お前のそういう、なんだかんだで甘いとこにも惚れてんだ。
さあ、なんでだろうな?言っておくが、そういう性格だから、ってだけじゃねーぞ。
いいに決まってんだろ。俺の方こそ、積極的に決められなくて悪い。お前とやるなら全部楽しそうだと思っちまってな。
そう言ってもらえんのは嬉しいが…。合わねぇ時はマジで無理すんなよ。過保護かもしれねーけど、心配なんだ。
あ、わりぃ。普通そっちだよな。…お前がいいなら犯人同士の設定で進めようと思うが、大丈夫か?
色々と固まってきたな。他に決めとく事とかあるか?
特に無ければそろそろ始めようぜ。…と言いつつ、『殺人鬼』で『一目惚れ』っつーと、どうも特殊な場面しか思い浮かばねぇ。一応こっちからも案は出してみるが、もしお前が考えてた展開があるならそっちを優先してくれ。
『 1:互いに相手は一般人だと思っている犯人達
たった一度すれ違っただけで、こうも記憶に残る存在がかつていただろうか。…先日隣室に越してきた男、名前すら知らない相手の顔を、昨日から何度も思い出している。
初対面なのに妙に親近感が湧くというか、他人の気がしないというか。もしや、これが──…。
小っ恥ずかしいその結論は、殺人鬼である自分にはあまりにも似合わない。思考を打ち切りソファーから腰を上げた時、まるで示し合わせたようにインターホンが鳴った。 』
『 2:初めて人を殺めた男と、連続殺人犯
深夜、血溜まりを挟んで男と向かい合う。思わぬ目撃者に動揺しているのか、やけに落ち着いている自分を不審に思っているのか、長い沈黙が続いていた。
やがて月明かりに照らされ、男の輪郭がくっきりと浮かび上がる。…ここで捨て置くのは惜しい。返り血に塗れた男を見て、何故か強くそう思った。
証拠隠滅なら慣れたもの。彼を自宅に匿ったら、すべて無かった事にしよう。その代わり…さて、何を要求しようか。 』
『 3:攫われた凶悪犯と、何も知らない犯人
目を覚ますと、見知らぬ場所にいた。柔らかいベッドから体を起こし、周囲を見回す。…上等な家具が並ぶ洒落た部屋。しかし窓は無く、部屋に不釣り合いな鉄扉は所々が錆びている。何による錆かは、経験から悟った。
拘束は片足だけ。どう返り討ちにするか算段を立てていれば、重々しい音と共に扉が開かれる。あぁ、困った。──犯人、めちゃくちゃ好みだ。
作戦変更。ただの被害者を装うにしろ、反撃するにしろ、まずは会話を試みよう。 』
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