名無しの悪魔狩り 2020-07-20 21:42:02 ID:e12c62b82 |
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石畳の通り上には血溜まりが広がっていた。
幾重にも重なり倒れた『ケルベロス』と呼称される悪魔達の死体、その中心には一人の女が佇んでいる。
衣服は真新しい赤色に染まっており、鞭と剣が一体になった様な得物を左手に携えて、外套の内側に収めた右腕は肘から先が存在していない。
「……数が多いな、今日は」
冷ややかな赤い瞳が死体の山を睨みつける。
太陽が出てその光に当てられればこれらは消滅する、悪魔とはそういう性質の生き物だ。
しかしそれまでは、自分達悪魔狩りが戦って時間を稼がなければならない。
女――ウィンケル家当主にして悪魔狩りであるレベッカ・ウィンケルは一つ嘆息した、群れを成したケルベロスを一人で相手取るのは中々に骨が折れる仕事だった。
「(負傷はしたがかすり傷、まだ狩りは続けられる……が)水くらいは飲みたいな、少し休憩を……」
壁に背を預け腰のベルトを探る、水筒にはまだ水が残っている筈だと。
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