名無しの悪魔狩り 2020-07-20 21:42:02 ID:e12c62b82 |
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人気の無い街が、仄青い月明かりに照らされていた。
昼間は人混みで埋まる大通りに、生温い風が鉄の匂いを運んでくる。
獣のそれによく似ていて、しかし何処か異質な匂い。
暗闇の中で蠢くのは夜行性の獣だけでは無い。
それは人を喰らって力を得る、力を得てはまた人を喰う、獣と呼ぶにはあまりに狂暴で悪辣で、恐ろしい生き物達。
古の人々はそれに『悪魔』という呼び名をつけ忌むべき存在とし、中でも優れた勇気と知恵を持つ者達は、時に己の命すらも代償にして悪魔と戦い人々を救っていった。
人を喰らう悪魔とそれを狩り続ける悪魔狩り、数百年も昔から続く血と死臭に塗れた物語。
時と共に風化と脚色が重ねられ半ば迷信紛いのものと化しても、過去は事実として存在している。
そしてそれは、これから先もそうだ。
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