パラボラ　(　締切　)　

　＞　歩


えっと……歩に聞いてほしい話があって…、この日もし良ければ私と夏祭りに行かないか？その、私の友人とその彼も誘ったから、ダブルデートって形なんだけれど…(　繋がれた手から伝わる体温にゆっくりと少しずつ早くなる心拍数ときゅんと音鳴る心臓に一度ぐうっと形容しがたい気持ちに襲われ、一息呑む。心の準備をしたはずなのに全く準備不足であり、彼をデートに誘うだけでこんなにも緊張してしまう。都合悪かったら、二人きりでないことを不服に感じてしまったら、と悪い考えも脳裏にぐるぐると回り出すもどうにかこうにか、伝えたい言葉は口から出てくれたようでチラシを見たり彼を見たり、忙しなく説明しながら本日の目的は達成されて。夏祭りまではあと三日。)


　＞　りりちゃん

…！俺ね、ここに来るまでりりちゃんに似合う浴衣の事考えてたんだ！だから、一緒に選びに行こう！俺のはりりちゃんが選んでほしいなあ(　飛びつく彼女の可愛らしさといったら何とやら、しっかり抱きとめてはくるりと一回転してからゆっくりと手を離し、流れるように繋がれた手を繋ぎ返し。さっきから永遠と回っている彼女に似合う浴衣の姿、それがこんなにも早く現実になりそうな予感に気持ちが弾まないわけがなく嬉々とした声音で同意の返事をしては早速意気揚々と手を引き、目指すのは都合よく立地された学校近くのショッピングモール。夏シーズン真っ盛りということでどこのアパレルショップもこぞって浴衣を出す時期だ。今時フリルや現代的な柄の物から古典的な和を感じる柄物までいっぱいだろう。脳内では既に黄色ベースで小花の散りばめられた浴衣を着た彼女の姿が思い浮かんでいるので理想に限りなく近い浴衣を探そうと意気込んでおり。)