◆Lollipop tart◆

“直ぐに戻る”……
(初めは見落としてしまっていたが、よく見てみれば机上に、彼のものであろう字でそう書かれた紙を見つけ。どうやら無事らしい、と安堵の息が漏れる。ふと隣に視線を向けると本とペンダントが置かれており、よく見てみればそれは日記帳とロケットペンダントということも分かった。ペンダントの中の綺麗な女性の写真＿＿自身の格好と殆ど同じ、ということから、彼が昨日言っていた『前のメイド』だと察し。
そういえば彼がお菓子にわざわざ『前のメイドの味』にするよう言ったのは何か理由があるのか……と脳内に疑問符が浮かぶ。
また、日記帳……この様子だと何か彼に関する事が分かりそうだが、読むべきか何も触れずにおくべきか。勿論これから仕えていく身として、自分の主のことはよく知っておきたい。しかし、これは恐らく、いや確実に彼の日記帳。勝手に読むのは流石にまずいのでは……と躊躇う気持ちもある。長い間一人悩んでいると彼の足音が聞こえたため、一旦机に置いておいたお菓子を持ち直すと、出迎えるように彼の方を向いて一礼し)
お帰りなさいませ、ルシェル様
いらっしゃらなかったので驚きました