君は強烈な空腹感を覚えて、ひどく殺風景な部屋で目を覚ました。君の腕には献血のパックが点滴のチューブで繋がれていて、他にも体の至るところから伸びたケーブルが、心電図や、あるいは名前もわからない機械に繋がれている。病室のようだが、埃っぽくて、汚れていて、機械も塗装が剥げてたりサビが浮いていて、お世辞にも清潔とは言い難い。どうお世辞を言おうか考えても、廃墟以上の褒め言葉は似つかわしくない。
君は記憶を辿るが、残念ながら君の記憶は虫食いよりも酷く欠損していて、日記帳に例えるならページごと破けているんじゃないかと思うほどだ。故に君自身、なんでここにいるかすらもわからない。しかし、君は自分が一度死んでいることだけははっきりと覚えている。君はなぜか心電図の音が忌々しくなり、体に繋がれたコードを引き抜いて、ベッドから起き上がる。
そして君は僕に出会った。