リンボ%% 2020-06-16 17:27:42 ID:4a16c616e |
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「大丈夫大丈夫。ちょっとスリリングにしたいだけだから」
嫌な予感がしたのか、焦った様子で確認しようとするアルトに対して、ルイアは余裕そうに言う。
「スリリング……トハ、ドウイウコトジャ?」
「恐怖の部屋に放りこまれ、悲鳴を上げるのも制限されて、震えて耐えることしかできない……なんて、最高に面白そうじゃないかい? ひひっ、甘えたことばっか言いやがる命しらずにはピッタリだ」
「オ、オヌシ……ショウキナノカ……!?」
スリリングの意味を尋ねられ、具体的に答えるルイアはまるで悪魔のような笑いを浮かべていた。さかな王子は驚愕して、思わず正気なのかと声をあげる。
「キミって、ホントにふだんからそういうコトしてるんだネ。ゴゴットが料理するときより楽しそうな顔してるヨ」
「そう。おいらは、苦しそうな反応とか、怖がる反応を見るのが好きでねぇ。だいたいは、そこのあんたみたいな面倒くさくてイライラする野郎に、少し脅してやったりしたくなっちまう」
ゴゴットに冷静に指摘されると、ルイアはこのように言いながら、さかな王子の方を見る。そこのあんたとは、さかな王子のことだ。
ルイアは、人や動物に対して苦痛を与えることを好む嗜虐癖をもつ、いわゆるサディスト。例えばライブなど音楽で精神が高ぶるような興奮を、恐怖や苦痛の反応を見ることで覚えてしまう。実際の行為はイタズラや喧嘩、反撃などにとどまるが、やり方が過剰な場合が多く、また思考もたびたびサディスティックに偏っていたりと、かなり病的である。
とはいえ、誰でもいいというほどではなく、女性にはほとんどその感情は向かない。気に入らないかどうかに寄るところが大きいものの、男性を中心にそこそこ被害者を出している。陰湿なときもあるが、ルイアのポリシーで、周りを巻き込まないタイマン的なやり口が多い。
「ナンジャト! ヨヲオウジトモヨバズ、ブレイキワマリナイゾ!」
「無礼は承知だよ。王子って、その辺に何人もいる存在じゃないだろ。だからしっかり守られるのは当然。なのに、そんな当たり前のことを投げ出して適当にふらついて……自由を望む覚悟も知らなそうなあんたを、悪いけど王子と呼びたくはないね」
王子と呼ばないなど、勝手な言われ方をされて少し怒ったさかな王子。無礼な対応をすることについて、ルイアは冷ややかに反論し、王子と呼びたくはないとはっきりと告げる。
「ムッ。キュウニ、セッキョウクサクナリオッテ。オヌシハカッテナヤツダナ」
そのルイアの言い分がどこか説教くさく感じたのか、さかな王子は不機嫌そうな顔をする。
ルイアはハーブティーを飲みつつ話を続ける。
「まぁ別に腹立ってなくても、面白そうなことを試すのが楽しくて、退屈なとき気軽に遊べる奴隷がほしいともつねづね思ってんだよね。なる?おいらの奴隷」
「ナラン!!」
最後に明るい笑みになって奴隷になるかとルイアが問いかけ、さかな王子は全力で拒否した。
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