奏歌 翔音 2020-06-11 11:08:38 ID:5762b1903 |
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>171 蘭花&ターナ
>147 斑鳩刹那
【蘭花(レーチェル)】
アニメはいよいよ終盤へ差し掛かりクライマックスを迎えようとしていた。
アソパソマンは数多くの仲間達を引き連れて強敵サイキンマンに全員でとどめの鉄拳を喰らわせ、最後はお決まりのセリフを残して締め括られる。
「……それでもわたしはサイキンマンを憎めずいつのまにか応援してしまっているのです。友達や仲間が多いわけでもないのに一人で果敢に立ち向かう姿は勇姿そのものですね。」
人に迷惑をかけていることはいけないことではあるのだが、このサイキンマンになぜが情が移ってしまっていた。誰からも理解されないが自分の信念を持っている。…多分。
そこまで力説してから『レーチェルさん、刹那ちゃんが来てくれましたよ』という掛け声が聞こえて駆け寄ってきた刹那(雪音)に目眩を起こすほどの醜態を晒してしまったと気づくと顔がぼっと赤く染まった。
話しを聞いていると父親と百貨店街で出会ったルカ、ナナ、刹那以外知っているはずのない内容だった。
しかし、そこにいたのは以前スターボックスで出会ったはずの刹那ではなく、見たこともない少女だった。
蘭花(レーチェル)は思わず目を丸くして口を開いた。
「あ……れ……? せ、刹那さんですか……? あの刹那さんなんですか??」
頭にお団子両サイドに乗せてロリロリした服装を見に纏った少女が涙ながら訴えてくる様子で自身の名を呼び掛けるので思わずそう聞き返す。
『レーチェルさん、今度は親御さんが来てるわよ。』
職員さんから再び声をかけられた。あの放送を聞きつけて駆けつけてきたのだろう。よかったと内心胸を撫で下ろす。しかし……。
【キース(ナナ)】
「レイ!!返事をしなさい!!」
『はい!』
迷子センターが迎え入れたのは見たこともない女性と鏡でも見ているかのように立ち尽くす自分自身の姿がそこにあった。
それも、今ではすっかり聞き慣れてしまったそんな調子の口調で名を呼ばれたものだから蘭花(レーチェル)は思わず椅子から飛び上がってしまう。
『お、お父さん……お父さんだ。うぅう……うわあぁぁぁあん!!』
「ライトチェーン!!!!」
乱暴な口調で"レイ"と愛称で呼ぶのは父親だけだと娘ながらそう悟し、泣きながら飛びつこうとする。
しかし、父の口から出された言葉は感動の再会をぶち壊すように無慈悲にも捕縛魔法の呪文だった。
蘭花(レーチェル)と愛娘二人をまとめて光の鎖によって手足の自由を奪う。前に倒れ込む娘を支え床へ寝かせると次いで蘭花(レーチェル)抱え、パイプ椅子に座らせた。『友達になりたい!』そう言ってくれたレーチェルの肉体に入る蘭花はきっと『この父親ヤバイ!こんな父親の娘の友達になんてなれない!』と、パイプ椅子に座らされながらもそう思ったかもしれない……。
そんな光景を目の当たりにした職員さん達も驚いた様子でなんの騒ぎなのかと訪ねようとしていたその時、先に口を開いたのはナナの肉体に入るキースであった。
「吾輩はこの娘の父親ではない!!」
『ええ……。でしょうね。』
『えぇ?!!』
体を封じられ身動きが取れずその場に倒れ込むとあからさまに父親だと思わしき人物の口から出たのは耳を疑いたくなる言葉だった。
そんな筈がない!信じられない!酷すぎる!蘭花(レーチェル)の瞳から今度は別の意味で涙が込み上げてくる。
その場に居合わせていた職員スタッフの人も頭に彩の花を浮かべていそうな女性が父親であるはずがないと同意するように言葉を漏らした。
「__そういうわけだ。それから新たに迷子(蘭花)を連れてきた。此奴(蘭花)を頼んだぞ。」
『分かりました。では、この子のお名前は?』
「知らん。だが、友達とはぐれたそうだ……。」
そう言って職員さんにレーチェルの肉体に入った蘭花の身柄を預ける。あとのことは職員さんに任せてナナ(キース)は苦虫を噛み潰したよう一瞬だけ表情を曇らせて、慌ただしく迷子センターを後にした。
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