とある設定厨(翠亞) 2020-05-27 18:59:10 |
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(肌を焦がす熱に、心を削る恐怖に、少しずつ自分の存在そのものが蝕まれていくような感覚。両の足で踏みしめるべき地面が唐突に無くなってしまったかのようで、武器を取ることもできない、ただ震えるばかりの両手を胸の前で強く握りしめては、浅い呼吸を繰り返す。そうして身動き一つ取れないまま、一秒が永遠にも感じられる極度の緊張の中で、しかし、心にしみ入るような彼の声だけは鮮明に響いた)
――ウィア、ド?
(はっとして僅かに顔を彼の方へと向ければ、村を蹂躙したナニカに縫い止められていた視線も自ずと剥がれる。美しい緑玉の瞳が視界に入ったのは一瞬で、一歩分の距離がひらけば、蒼炎と黒翼とを正面に据えた大きな背中には彩銀石が放つ光で影が落ちた。当たり前のように前へ出て、当たり前のように武器を手に取るその姿にどうしようもなく苦しくなって、掠れる声で名前を呼んでは、その背へと思わず手を伸ばす。しかし手が触れるより先に魂を揺さぶるような声が響けば、持ち主の意志など存在しないとばかりに体は動きを止め、視線は黒翼のナニカへと吸い寄せられていき。――その言葉の意味は分からない。しかし村の惨状を見れば、歓迎すべき事態ではなのだと思う。ウィアドへと向けられた紅の双眸に確かに憤怒が宿るのを見れば、心臓を鷲掴みにされたような心地がして、赤き光によって現出した両刃剣がその手に握られれば、流れる空気は質量を増した。――やっぱりその言葉の意味は分からない。それでも、良くない事だと言うのは痛いほどに分かる。こちらを振り向いたウィアドの言葉に僅かに目を瞠れば、何も問題など無いのだと言わんばかりの笑みに言葉が出なくて、ただ小刻みに首を横に振る事しかできず)
っ、だめ――やめて、ウィアド…!
(ようやく絞り出した制止の声と同時に伸ばした手は、彼の速度に追いつけなくて宙を掻いた。その勢いのままに数歩進んだところで足を縺れさせて膝を付けば、怖くて、苦しくて、悔しくて、青碧の瞳に涙を滲ませて顔を上げる。この世の地獄へと真っ直ぐに進んでいく彼の背中。ここで目を離そうものなら永遠に失ってしまう気がして、震える膝に力を入れて何とか立ち上がった後もその場から動けずにいて。強く握りしめた拳は自分でも認識しきれない様々な感情に震え、爪が皮膚を破ったか、幽かに鮮血が滲んでいた)
(/作り込まれた世界を旅するのが今からとても楽しみで、何だか遠足の前の日の夜みたいだなって。気になる事もたくさんあるから、是非色んなものを見て、色んな人と知り合って――この世界を識って、満喫していきたいと思う。それから、自分の綴る旅路で貴方にも楽しんで貰えるのなら、とても幸せ!
人生は選択の連続だ――なんてよく言うけれど、いつも悩めるだけの時間があるとは限らないもの。だから、うん。翠亞さんの言うように、思うままに道を切り開いて行こうと思う!)
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