翠亞 2020-05-25 00:34:01 |
通報 |
( 大きな背中を押して、一気に視界が広くなる。そうして美しいひとを見つめた。改めて正面から見たあのひとは、生まれて初めて見る様な表情をしている。先程までの燃える様な怒りはなく、何かを堪えるような、憂いを帯びているような、不思議な感情が見え隠れしている。それを見た途端、ついさっきまで波立っていた心はまるで幻だっかのように落ち着きを取り戻していた。じわりと心を蝕んでいた黒いものが消えて、静謐へと帰していく。そんな心地で、口を開いた。 )
「───わたし、」
( 同時に馬鹿、と聞こえた気がした。その先に続けようとした言葉が形を取る前に形を成す前に立っていられない程の激しい風が吹き荒んだ。それを理解する前に身体が宙を舞う。体験した事の無い浮遊感の中、あのひとの浮かべていた表情が脳裏に焼きついていて─何かに強かに背中を叩きつけた感覚と共に意識が遠のいていった。 )
◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆
( 誰かに呼ばれたような気がして、目を覚ました。燦々と照りつける太陽の光が眩しくて、小さく唸りながら辺りを見渡す。軋む体と目に映る光景が昨夜の事は夢でないことを告げていた。ウィアドもあのひとも姿を消している事に気がつかないまま、瓦礫と化した家々から視線を逸らすと、見つけたのは黒色の何か。闇を溶かして形成したような艶々とした大きな羽。それがあのひとの物だと確信して、─そこで、それに手を伸ばしている人に気がついた。 )
「待って!」
( 咄嗟に口から弾丸のように飛び出した声は、寝起きのせいか、あるいは強風の中で埃を吸い込んだのか酷く掠れていた。それと同時に普段では考えられないほど俊敏な動きで手を伸ばす。僅かに咳込みながら、それでも止める事無く目の前の面妖な格好をした女性を止めようと右手を伸ばした。 )
【了解。なるべく一度で覚えれるように頑張ってみるよ。
あと、一つ確認というか、相談というか、そんな感じのことがあるんだけど大丈夫かな?基本が上の文量くらいで、ここの人達と比べてもそこそこ長めになってるみたいだから読むのが負担だったら遠慮なく言ってほしい。こっちは文章を読むのも書くのも好きだから全然問題ないんだけど、翠亞さんの負担になってたら嫌だから、こうして確認させてもらったんだ。】
トピック検索 |