とある設定厨 2020-05-22 16:00:16 |
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書き込み失礼いたします。
「スイアに導かれた者です」
Name / アンスール
Race / ヒト
Age / 25歳
Gender / 女
Temper / なかなかに芯が強いが、一方で綺麗なものにはめっぽう弱い(美しいものはただあるだけで価値があるのだ!)。特に夜の海には格別の愛情を覚える。人を越えた何者かが潜むような、得難い神秘のような魅力を感じずにはいられないのだ。
彼女の他人との関わり方は独特である。決して深くに踏み入らないよう慎重になっている。踏み入ることで相手に期待してしまうことが恐ろしい。身勝手な期待は、後に彼女自身を傷つけかねないからだ。これは重要な自衛方法の1つである。けれど、他者を完全に排除できるほど孤独好きにはなりきれていない。要は、誰かに自分という存在を認識されなければ不満足なのである。
Height・Weight / 180cm・70kg前後
Face / 涼し気な顔つきをしている。いっそ冷淡なくらいの印象があるが、笑えばそれなりに愛嬌がある。鋭く尖った目尻や頬には紅を差し、口元には淡い色を乗せる……申し訳程度の化粧っ気を見せるくらいには、「女らしさ」がある。
彼女の目は深海を映したような色をしている。
Hair / まず前髪を長くしている。ちょうど目が隠れるくらい。白銀の月を溶かし込んだような色をしていて、それを腰に届くほどに大切に伸ばしている。いつかこの髪を編んで、一房のアミュレットにしたものをウィアドへプレゼントするつもりだ。
Body / ほどよく引き締まった体躯の持ち主である。だが、極めて筋肉質というわけではなく、尻から腿にかけては柔らかく、腰のラインはキュッとしぼられている。
Clothes / 襟の大きな本革のロングコートを着込んでいる。革製品などは使い古せば味が出るというが、彼女のコートはまさにそんな具合で、黒い色が所々褪せて、不規則な模様を刻んでいる。なかには袖のたっぷりと膨らんだ白のブラウスのうえから革のコルセットで細腰を止めている。細身のズボンの裾はロングブーツのなかにしまいこみ、機動性を確保している。
右手の中指にある銀の指輪は、ウィアドと揃えてつけているものである。表にはなんの装飾もなく、内側にとある文字(ルーン文字)を刻んだ特別な品だ。
Arms / 彩銀石製の細剣は、その柄を精緻な彫刻が飾る。彫られているのは、獣の爪痕を模した文様か。
サブウェポンとして鋼製のナイフを携行するが、あまりアテにはならないかもしれない。
Wonder / 彼女が持つのは【獣皮】の奇跡である。細剣で自らの胸を突き刺すことで流れた血が彼女の姿を覆い尽くし、おぞましい獣へと形を変える。それは犬のようでもあるが、四肢は長く、そこにある五指は人の名残りを見せる。体長およそ5から10メートル(この振り幅はどれほどの血を纏わせるかによるものである)。尖った鼻に、大きく裂けた口、巨大な八重歯。全身からは絶えずどろりとした液体を流しているが、これは血液とは異なる。熟れすぎた果実のような腐臭を漂わせながら、常に泡立ち続けているのだ。故にこの獣の通った跡には、腐敗と死肉の道ができるだろう。
Notes / 彼女は時折煙草を吹かす。それがなんのためなのか、あるいはなにをきっかけにしてかはもはや彼女自身覚えていない。ただ1つ確かなのは、彼女は自身のなかにある獣性が日々強くなっていることを自覚したとき、どうしようもなく虚しくなることだ。彼女が思うに、人とは自らの内に獣を飼っているもので、それを理性という枷で抑止しているのだ。そして、その枷が大きくなればなるほど、反動として獣も大きくなる――あくまで、彼女の持論にすぎないのだが。
彼女はやや変わった家の生まれである。血を伴う祈り(内容は省略させていただくとして)によって、人を越えた人となることを信じ続けている系譜の長女だ。しかもこの祈りは、三大女神へのものではなく、親の親のそのずっと昔の親から続く妄想によって生み出された有象無象の造物主なのである(もちろんそんなものは実在しない。彼らの馬鹿げた空想の産物である)。いずれにしろ、異質なオカルティストの家系であれば、爪弾きにされるのも至極当然の道理というもの。トウィリト村において、彼女の家は決して歓迎されるべき血筋ではなかった。しかしそれももはや存在しない家だ。なぜなら、彼女の奇跡が多くの血族を蹂躙してしまったから。ただし、これもまた別の話であるので、割愛させていただく。唯一伝えるなれば、彼女はなぜ自分が彼らを淘汰したのか、理解していないということだけだ(他にも、彼女はしばしば自分の行動理由の説明ができなことがある)。
彼女が好きなものは様々ある。たとえば海の音とか、星だけが見える夜空とか、数多の宝石とか。なかでも一番は、ウィアドの目だ。どんな石よりも美しい、エメラルドグリーンの目。いつまで見つめていたって飽きやしないだろう。
一方で嫌いなものは、それほどない。他人に期待を寄せないよう注意して生きているから、落胆や失望をすることがないせいだ。仮に醜い石が足元にあったとしても、磨けば光るだろう程度には考えている。
現在の彼女はウィアドに続いて遺跡巡りの旅をしている最中である。血族(彼女は自分の家をこう呼ぶことがある)の信仰を否定したアンスールであるが、かといって女神を本気で信じて日々祈りを捧げるような敬虔な奉仕者(信徒のこと)ではない。だのに、いかにも遺跡に興味がありますという顔をするのは、ウィアドの旅に同行するための口実にすぎなかった。かつて教会で出会った少年の目は、いまも変わらず美しい。それだけで、近くにいる理由たり得る。
Prologue / 分岐→「 恋慕(一目惚れ) 」
天に昇る蒼い火の、なんと美しく幻想的なことか。アンスールが息をするのも忘れるほどには、その輝きはあまりに眩しかった。一瞬、火のなかへと飛び込もうかと思ったほどである。実際はウィアドに続いて、懐かしい村へと走ったのだが(ここで飛び出さなかったことを褒めてもらいたいほどだ!)。
そうして見えたのは、人の形をしたナニカ。蒼く照らされた翼が暗い影を落としている。紅の目が濡れたような光を灯しているのが見えた。ああ、なんてこと!アンスールは自分の胸元に手をそえて、ゆっくりと深く息を吸い込んだ。いまいちど落ち着かねばならなかった。さもなければ、彼女はウィアドの持つ彩銀石(つまりシミター)が紅玉よりも赤く輝いていることに気が付けなかっただろう。
「そう……そうなの。火って、こんなにも綺麗だったの」
腰にある細剣は抜かない。抜刀はすなわち敵対を意味してしまう。アンスールはただ、この蒼々として輝かしい世界に踏み入りたいだけなのだ。それは海に溺れるような感覚に似ている。温かな深海に抱かれて、静かに眠るような感覚だ。
慎重に、無粋な足音で火の爆ぜる音を壊さぬように、翼の人へと歩み寄る。けれど近づきすぎないように。ほんの数メートルの距離を置いて、名前もわからない人物へと片手を差し伸べる。あなたのこと、と、名指しするように。
「あなた。そう、あなた。とても、綺麗ね」
アンスールは元々声の小さな女だ。普通に会話しているつもりでも、ぼそぼそとした喋り方のせいで、何度も言葉を聞き返されたりもする。いまも、もしかしたら彼女の声は周囲の様々な音にかき消されたかもしれない。
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