主 2020-04-02 19:17:07 |
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>剣崎
(街を歩けばあからさまに敵意を____中には殺意も____持った視線が向けられるのを感じる。自分のような見知らぬ痩躯の人物が街を歩いているとなれば興味本位で物見遊山でもしていると思われるのは至極当然な事で、声を掛けられないだけマシなのだろう。時折路地から漂う腐臭も、怪物の死体やら何やら弄ってきただけに然程気にならないが、この視線は宜しくない。仮に喧嘩でも吹っ掛けられれば立って居るのは恐らく相手。純粋な腕力勝負では全く歯が立たないのは分かりきっている。一応『保険』は用意しているが、王都に近く、魔術師が居る事自体珍しい此処で使うのは些か憚れるのだが…)…(やはりこうなった、というべきなのだろうか。嫋やかな、それでいて芯のある声に振り向けば、刀と呼ばれる東洋の剣を身に帯びた女性が立っていた。顔立ちからするに東洋人、少なくともその血が彼女に流れている事は分かる程の顔立ちであった)忠告ありがたいが、此方も人探しをしていてね。手掛かりの一つでも掴まん事には帰るに帰れんのさ(「こんな所に来るべきではない」という彼女の忠告を珍しく素直に受け取るが、空手で帰るというのも惜しい。せめて十三柱に関する情報を得て帰りたいのだった)…不思議な気配…か。その言葉、君にもそのままお返ししよう(確か東洋人で十三柱に数えられていた者が居たのを思い出し、彼女に尋ねようとしたが…そんな事を悠長に聞いている程状況は芳しくなかった。凛々しい顔に獣の如き本能の笑みを張り付けたその女性は、佩いていた刀の柄に手を掛けながら此方ににじり寄っていた。早速『保険』が必要になったようだと、ズボンのポケットに手を突っ込みながら距離を取るように後ずさっていこうか。服に仕込んだ術式で斬られて即死、なんて事は免れるが防げるのは初撃だけ。あとは『保険』でどうにかするしかないと覚悟を決めた
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