いったい我々はどこで道を間違えてしまったのだろう。ただ純粋に強くあろうとしただけなのに。
「城壁が破られました!」
「動ける者は全員一旦こちらに撤退しろ!城にて向かい討つ!」
悲鳴と泣き叫ぶ声。
数百年も頂点に立っていた王都は、すでに壊滅状態だ。城の騎士や腕に自信のある者だけが弱き者を守るために立ち上がる。
死んでいく。仲間も親も兄弟も友人も恋人も……。
どうしてこうなってしまったのか……。
涙を流しながら、一人の男は絶望に膝をつく。
こんな現実が待っているならば……いっそ……。
とある一室。大きな魔法陣が青白く光る薄暗い部屋に数人の人影。何かを決意した者たち。
「我々の未来は君たちにかかっている。必ず成功させてきてくれ」
魔法陣の中に立つ数人に男は、祈るように託す。男に運命を託された数人はしっかりと頷くと、青白い光に包まれて消えていった。
「……どうか、世界に幸あれ……」
男は心から世界の安穏を願う。その一室の壁一枚隔てたところにフードを被った存在が立っていたことに気づくこともなく……。