限界夢女子 2020-03-02 23:31:26 |
通報 |
>セブ先生
──…失礼します。
( 凛とした声で入室時の言葉を述べると、扉を開いて1歩前へと進んだ。ああ、この香り、やっぱり此処が一番落ち着くな…。肩の力を抜いて小さな吐息を一つ漏らし、指摘された事には「ごめんなさい。私もあれは流石に強すぎたかな、って思いました。次からは気をつけます」なんて、素直に謝罪の言葉を紡いで頭を下げた。幾ら心が乱れていても、それをドアに当たるようにして叩いてしまうのは悪いことだ。自身の行いを反省しつつ、扉が閉まると同時に下げていた頭を上げれば、見えたのは閉じられている本。「……読書中だった?」と少し申し訳なさそうな顔で問いかける口調は二人っきりであるからか、授業中や、廊下などですれ違った時と比べて随分と砕けたものだ。然し、要件を尋ねられると視線を逸らしてしまう。言えない、言えるわけが無い。さっきまで違う先生と話していて、好きな人の話題で貴方の事が浮かんで、恥ずかしくて逃げるようにして、勢いで来ましたなんて。どうしよう、と考えて咄嗟に思い付いたのは昨日の出来事。「実は、私、昨日吸魂鬼に襲われたんだけど。」まぁ、出だしはこんなもので良いだろうか。教師である以上、知ってるかもしれないが、これ以外の話題はまだ混乱している頭では思いつきそうに無かった。「夢にまで出てきて睡眠不足だから、こう、落ち着けるような薬…あったりしませんか?」恐怖心は先程のお茶会のお陰ですっかり無い。そう、それは無い。けれど、今日は夢で見ないなんて保証はないし、今でも目を閉じれば鮮明に浮かぶ程焼き付いている。勝手を知った様に前に持参した椅子に腰を下ろせば、視線の行き先は床に落ち着いた。多少混乱も収まったようで、「なんて、言ってみたり…無かったらいいんですけどね!」と普段のように明るく笑って言葉を付け足せば、「そういえば、今年の先生…ほら、ルーピン先生。あの人、去年居たロックハート先生よりまともそうだったよ。」話題をすり替えるようにすぐ様口を開いては左記を呟き。 )
>ミア
…そうだったのね。
( 視線を彼女の方へ戻して相槌を入れながら上記を告げると、既に去っていってしまったリーマスに向けて心の中で賞賛を送った。女の勘、と呼ばれるものは中々侮れないものである。──リーマスの想いには気付いていた。勿論、親友であるミアの想いも知っている。己は、二人が両想いである事を知っている唯一の人物だった。然し、恋愛事は他人があれこれと口出しするべきでは無いと常日頃から考えている為、余計な事は喋らず、静かに見守り、応援したりして今までを過ごして来た。今回の件も逸れた事で、親友が想い人と過ごせたと知った時、怒り等が沸いて来る事は無かった。握られた手を少し体温が高い手で確りと握り返せば「ふふ、いいわね!」なんて上機嫌に左記を答えて提案に賛同を示し、柔らかな新雪を踏み締めて歩き始めながら、仄めかされた相談事には大きく頷いて「着いたらそれも含めて、逸れた時の事も詳しく聞かせてちょうだいね?」と述べ、茶目っ気のある笑顔を浮かべて片目を閉じた。…ああ、今日はミアからどんな話が聞けるのかしら?…そろそろ、進展の報告が聞きたいものだわ。小さな期待を胸に抱いて、二人で歩いていく───羽根ペン専門店から三本の箒まではそんなに距離は無く、他愛のない会話をしていれば、到着するのもあっという間で「嗚呼、もう着いてしまったのね…」そう小さく呟けば、盛り上がっていた雑談を一度中断し、彼女と二人で店内に入る。どうやら時間帯のお陰かそれなりに空いているようだ。隅の方にある、空いているテーブル席を見つけては「彼処にしましょう?」と指差して位置を伝えて )
トピック検索 |