執事長 2020-02-25 19:00:33 |
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>ラザロ
…ふふ。(先まで己を弄んでいた彼が開く目に、そんな表情もあったのかと視線を絡める。そして笑う彼に釣られて此方も可笑しげに息を一つ噴く。そこから暫しの静寂を置いて、彼から重く深い声で請われたのは己の口で紡ぐ彼の名。「……ラザロ。」応えぬ道理は無い。穏やかな、けれど熱を帯びた声で名を呼ぶ。掴まれた手首が誘導されるまま、許可を喜んで頬を弛めつつその翼を今度は一撫でし、次いで握手でもするようにそっと握る。直後また首筋に顔を寄せた彼の吐息が掛かり、ぞぞ、と背を這い上がる震えに息を詰め、翼を握る手に力が入る。「っ…ああ、約束しよう。必ず、君の傍に。」説明の足りぬ言葉、それ自体の意味は解らない。けれど、また彼の傍に行けばいい。それだけを理解して確かな声で契った矢先、喉は鮮烈な痛みに貫かれ、呼吸が塞がり、体からは赤い色が抜けて視界が徐々に暗転していく。そうして全てが暗闇に包まれる寸前、その最期の刹那。もう一度だけ、吐息すら落ちない唇で彼の名をなぞりながら瞼を閉じた。)
***
いや、此方こそ遅くまでありがとう、ラザロ。
不器用で、無骨で、優しい君も十二分に魅力的で、切なくて…ああ、とても楽しかったとも!
また暇が出来たら是非とも遊びに来よう!だからどうか、その時まで待っていてくれ。
それでは、私もこれで。君もゆっくりと休んでくれ。おやすみ。
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