執事長 2020-02-25 19:00:33 |
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いや…痛くは、無いが…(一瞬気を取られたのは先程彼の出した自分と同じ名前を持つ者の事。直ぐ様話は放り出されてしまった為に話題には出さず、そのまま頭に押し留め。それから文句混じりではあったが敏感な其処から離れた刺激に、ほっと息を吐きつつ、応答の言葉を探して眉を下げる。どう言ったものか、等と考える合間に見上げていた彼の顔から不機嫌さが無くなる。次いで見えたその表情。言葉。──感じたのは、危機だ。「な、いや、待…っ…!」慌てて掛けた制止の声は空振り、なけなしの抵抗もすり抜けられ、再び首に彼の顔が埋められる。直後襲ったのはぬるりと舌が気儘に首筋を滑る感触、そこにほんの僅かちくりと走る痛み。どれもこれも己には充分以上の刺激だ。それらが背を通り越し、腰や腹までも這い回り、むず痒くなっていくような、熱を帯びていくような感覚に堪らず、ぐぐ、と背が弓形にしなる。「あ…っく……んン…っ」半端に開いた唇から声が零れかけて、咄嗟に空振ったまま宙に浮いていた手でそれを口の中に押し戻す。「ふ…っ…まだ、か…?」頭が刺激に痺れ、思考が追い込まれていくのに耐えきれず、声を押し込む掌の隙間から問いとも独り言とも取れる言葉を落とした。)
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