執事長 2020-02-25 19:00:33 |
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>レジーナ
そうさ、僕って物知りなんだからっ!へえ、やっぱり上手く遠吠えするコツとかってあるのかな?僕もやってみたいっ!(純粋な褒め言葉に自尊心が擽ぐられ、えっへんっと鼻高々に頷いて見せる。聞かされる内容に瞼を閉じ、月下の下、雄々しくも咆哮する気高き姿を想像しては、束の間、思いを馳せ。きっと肺活量が少ないから、三人の中で一番不出来な結果になるだろう。それをレジーナには横から茶々を入れられるんだ、そこまでを思い浮かべては、つい漏れた笑いに小さな肩を揺らし。「そうだっ!レジーナ、僕と遠吠えの特訓をしようよ。それでジェイドを吃驚させてやるんだっ。」良い事を思い付いた、そう言わんばかりに彼女の耳元へこしょこしょと内緒話を零しては、ドキドキと顔を覗き込み反応を待って。素敵な提案だと疑うこともなく信じているのは、無邪気に煌めく瞳が雄弁に物語っている。ただ、無邪気さ加減で言えば、彼女の喜びようも負けてはいないだろう。なんと、更に尻尾の動きが早まるではないか。驚きに小さな口を開き、つい見入ってしまう。「いいなー、僕も尻尾があればなー。」無い物ねだりとは分かっているが、憧れるだけなら許してほしい。まるで猫じゃらしを前にした子猫のように、目は尻尾を追い掛け、今にも飛びつきそうな様子。「そうだ!ねぇ、レジーナ。僕に尻尾を触らせておくれよ。ギンハ様もお礼に尻尾で撫でてくれたりしたんだから。」彼への自慢云々の返答はさておき、ここぞとばかりに九尾の彼との出来事を明かしては、彼女の負けん気の強さを刺激するような言葉を選び交渉の場へ持ち込んで。ケラケラと純粋に笑えていたのもここまで…なんの心構えもないまま問われた質問に、つい身体が強張ってしまった。きっと、こんなに近く密着していては隠すことも出来ないだろう。恐る恐る詰めていた息を吐き出し、両方の手を突っぱねて距離を取る。俯けた顔はそのままに「……そうだね。そうかもしれない。きっと、お別れの時も近い、と思う…。ねえ、レジーナ。黙っていてくれる?ジェイドには僕から話したいんだ…。」小さな声で、しかしはっきりと肯定の言葉を紡ぐ。最期まで隠し通せると思ってはいなかった。いつか誰かに協力を要請しなければと思っていたのだ…その予定が早まっただけ。「最期の最期まで、彼には秘密にしておきたいんだ…。僕の我儘だっていうのも分かってる。彼に会うのは、今日で終わりにする。きっと次に会うのは……。だから、それまで彼に知られないように僕に協力してくれないかな…。」ぽつぽつと、震えそうになる声を必死に抑えながら残酷なお願い事を持ち掛ける。姉のように慕っている彼女に、なんと酷いことを頼んでいるのだろう。それでも、この道を進むと決めたのは己なのだ。ゆっくりと面を上げ、強い意志を孕んだヴァイオレットの双眸で夕焼け色の瞳を見据え)
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