執事長 2020-02-25 19:00:33 |
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>レジーナ
あ、本当だねっ。お月様みたいだ。レジーナたちもお月様みて遠吠えしたりするの?(同じ言語を操るから、自分達とそこまでの差異を感じてこなかった。しかし、ワーウルフというのだから狼としての習性などもあったりするのだろうか。視界の端にちらちらと見え隠れする耳と尻尾は、柔らかな体毛に覆われ、優美に動く様子は神経が通っている事を示す。外見的な特徴を粗方知ることは出来ても内面的な事はまだまだ知らぬことも多い。「僕、もっと君達の事が知りたいな。」ぽつり、溢れたのは本音。ただ、あと幾程の時間が残されているだろう。後悔のないよう、彼女と過ごすこの瞬間も一つ一つ大切にせねばなるまい。頬に受ける刺激に、無邪気なまでの笑い声をあげ、迫る終幕には目を瞑り、楽しい気持ちに身を委ねよう。「せいかーいっ!僕の言ったことは本当だったでしょう?レジーナもギンハ様みたいになっちゃう──っうわ!」サプライズは大成功。小さな頭部を覆う帽子は、亜麻色の髪に彩りを添え、彼女の新たな魅力を引き出してくれるよう。繁々と鏡を覗き込む後ろ姿に、ニマニマと頬を緩めピースサインを送る。小さな胸は達成感に満たされ、ふふんと胸を張りからかいの言葉を続ける。しかし、それは思わぬ衝撃に最後まで言葉にすることができず、驚嘆の叫びで途切れてしまう。先刻の彼女のようにカッコ良く受け止めるなんて芸当、当然出来るはずもなく、ゆらりと小さな身体はよろめいて。背後に倒れるなんて醜態は晒さなかったものの、危機一髪だったことには変わらず、ふぅ、と安堵から溜息を落とし。「レジーナったら、そんなに嬉しかったの?喜んでもらえて僕も嬉しいやっ。いーっぱい使ってね?」そっと視線を下に落とすと、ちぎれてしまうのでは、と心配になってしまうほど彼女の尻尾が左右に激しく動いているのがよく分かる。それが相手の感情を如実に表してくれており、照れからじわりと頬の血色が良くなって。なんて幸せな時間なんだろう。何時迄も彼女たちと一緒に自分も…、去来する叶わぬ願いに身が焼かれそうになってしまう。きゅ、と下唇を小さく噛むと、彼女の背に小さな手を回し、首元に頬をすり寄せる。言おうか言うまいか、数度開閉を繰り返すものの、結局言葉にはならず一言感謝の言葉を告げて。)
……レジーナ、有難う。
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