執事長 2020-02-25 19:00:33 |
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>レオ
あァ、手前はお祭野郎ってガラじゃァねえだろな。
( 酒を右手に肴を左手に、千鳥足で提灯の下を闊歩し祭を楽しむ貴方の姿は、如何せん想像に難く。森の中で草木や獣を相手にしてきたのだから、人工的な浮いた催しには不慣れだろうとは思っていたが、まさか初めてとは。何か感慨深そうに、深く吐息して「 悪かったな、手前の初めてがこんなニセモノでよ 」願わくば、命の危機などない元の世界で連れて行ってやりたかったが。それは不可能というもので、やがて目の前に広がるであろう魔力で塗り固められた夏祭りを案内してやることしか出来ない、己の無力を噛み締め無意識に繋いだ手に力を籠め。「 よォし、んじゃ先ずオオカミと人魚んトコだな 」はっきりしたリクエストを返してくれた事に、上等だと口角を吊り上げ。果物を飴細工にした露店の番を挙げれば、いよいよ祭の会場が見えてくる。いつ階段を下りたのか、何度角を曲がったのか、人間に知覚できないのはこの屋敷の魔力のせいで。月明りに紅い提灯の彩りが混ざる廊下の果て、開かれた扉をくぐれば――一面の向日葵。どれもこれも月光を反射して桃色や紫に淡く発光し、茨の森の枝には和風な提灯がいくつも連なっている。少し遠くにぽつぽつと屋台の灯りが見え、祭囃子は音量を増して「 これが人間界の祭ってヤツか。悪くはねえな 」空いた手で顎を擦りながら、想像以上にカラフルで妖しげな雰囲気を堪能する。これを見た貴方がどう反応するのか、ちらりと横目で盗み見て。「 腹ごしらえだ。行こうぜ 」今度は先ほどのように強引ではなく、貴方の情動を邪魔しないように優しく手を引いてエスコートを。向かう先は色とりどりの暖色ランプに飾られた屋台で、軒先には色々な種類のフルーツ飴が陳列されているのがぼんやりと分かる。店番の怪物は、耳と尻尾のシルエットからしてどうやらワーウルフのどちらからしい。近付いてみなければ正体は分からない、しっかりと貴方の手を握ったまま屋台へと距離を詰めよう )
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