執事長 2020-02-25 19:00:33 |
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>ミネルヴァ
――ハハ。なんだよ、結局僕のこと"優しい"って言ってくれたのは嘘だったってわけ?
( 世の中も酸いも甘いも知らぬ、青春を謳歌しきることもせずティーンのうちに殺害された少年にとって、貴女の仕掛けた上質な言葉は駆け引きではなく疑念そのもの。何だかんだと言いつつ、最終的には自分の事を害敵だと怪しんでいるんじゃないか――額面通り、そんな風に受け取って。貴女の言葉や態度ひとつで容易に傾く信頼と不信の天秤は、良からぬ方へ重心が傾きつつあり「 分かってるよ。君は人間で僕は怪物、それだけは信じられる 」達観したような言葉を吐きつつも、諦めきれない未練が声に悔しさを滲ませる。自分が慕う妙齢のヴァンパイア、貴女は彼女が持つ上品で麗しい雰囲気と酷似したものを持っている。だからこそ、信じられるかもしれない――否、信じたいのかもしれない。ゆえに、この場に蹲り腕に顔を埋めて、ここから逃げる事すら出来ないのだ。「 ……ねえ 」ぽつり、今度は此方から呼び掛ける。「 僕は怪物で、君の事なんか簡単に終わりにできるんだ。庭の百合を一本手折るみたいに呆気なくさ。君はそれを解ってて、この扉を開けられる? 」今や薄れかけている死の本能的な恐怖から、人間の事は怖くて堪らない。自分は怪物で、人間を殺害することなど造作もないとしても、だ。それでも貴女を試すような言葉を吐けたのは、自分で何度も口に出すことで、物理的な優位性をようやく自覚できたからか。この世の全てから目を逸らすように、壁を背に縮こまったまま以降は沈黙して )
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