執事長 2020-02-25 19:00:33 |
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>レオ
――…、
( 何やら言葉に詰まっている貴方の様子に、片手の人差し指で肘置きを弾く。一定のリズムで繰り返されるそれはやがてテンポを増してゆき、貴方を急かす意図は皆無なれど無意識の短気さがありありと滲み出ていた。しかしその不穏なメロディーも、予想だにしなかった申し出にピタリと止んで。静かな動作で表情を隠すように俯き、そのままガシガシと自身の短髪を掻いて「 ったくよオ、妙な獲物に目ェ付けちまったモンだぜ。 」呆れるような、怒るような声音は意図的に作り上げたもの。決して貴方に見せぬよう伏せた表情は、真っ向から獲物に頼ってもらえた充足感、或いは喜びに締まりなく綻んでいて。再び顔を引き締めるべく咳払いをした後、勢いよく面を上げれば、いつもの仏頂面に元通り。突き合わせた貴方の顔は、さながら庇護欲をかき立てるか弱さすら感じさせ、それを目に焼き付けんばかりに数秒真っ直ぐな視線を送る。そうして、ペリリと音を立てて自身の手の甲の鱗を一枚剥がせば、それを貴方へ放り渡し「 俺の獲物の証だ。強制力があるわけじゃねえが、物分かりの良い怪物ならそれを見せりゃ襲ってはこねえ筈だ。肌身離さず持っとけよ 」竜の鱗は希少価値が高く、何よりドラゴンにとっての誇りでもある。主の元を離れても、輝きを失うことなく紺碧の光を放ち続けるそれは、決して誰にでも渡すことはない特別なシロモノ。けれどそれを言葉に出すのは気恥ずかしく、ゆえに敢えてそこには触れずに「 言っとくがよ。俺が手前の御守をすンのは、手前が食べ頃になるまで、だ。俺好みに肥えたらスグサマ喰っちまうからな 」偉そうな態度で足を組み上げたまま、腕も同じように組んでふんぞり返る。突き放すような言動は、互いに情が移りすぎないようにセーブをかける為か )
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