鬼少佐 2020-01-26 17:57:08 |
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逃げたりしない…、成程。( 哀しみ、寂しさ、そんな類の寒く冷たい感情が、暖かく満たされかけた胸を染め上げる。そうだ、そうに決まっている。上層部からの命令でなければ、誰もこんな無愛想な上官と喜んで褥を共にしたいなどと思わないだろう。つまり貴方は本心では己から逃げたいと思っているのだ、そう解釈してしまえば自嘲の微笑が口角に滲み。静かに手を伸ばせば、繊細な硝子細工でも扱うような優しい手つきで1度だけ頬を撫で「 済まんな、怖がらせた。 」短く謝意を告げ、ゆるりゆるりと首を振り「 元より無理強いするつもりは無い。ただ少し――、 」陳腐な絵空事を言葉に乗せかけては、自分への呆れにそれすらも霧散し。空のグラスへ意識を移せば、自分でボトルから酒を注ぎ「 俺は自惚れていたようだ。お前の体温や視線の熱さも、全ては酒の所為だと言うのにな 」一口シャンパンを呷ってソファーから立ち上がる。そのまま扉へ歩いていき「 折角の宴に水を差したな。俺は頭を冷やしてくる 」振り返ることなく告げれば、そのまま執務室を後にしようとドアノブに手をかけ )
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