牙 2020-01-17 22:35:28 |
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愛馬が鹿と遭遇して興奮状態になった。制御が利かない。落下しそうになりながらも優しい手つきで宥めるように撫すると少しずつ落ち着きを取り戻していった。ふと気付けば見覚えのない景色の中に身を置かれ、常日頃から横にくっついて監視兵の如く神経を尖らせている大臣達の姿がない。前後左右に視線を振るも人影すら目に触れず、焦燥感を煽る。城内でなら誰からも口煩く注意されず自由に動けてばんばんざいだが外でこれだと良家の娘や坊っちゃんと出会った時に面倒だ。憂いを帯びた面持ちで嘆息混じりに「困ったなー。」と独り言つ。刺激しないように緩慢な挙動で下乗し、髪と衣服の乱れを直す。森を抜ける為に再び跨がろうとするも愛馬の視線が一ヶ所に定まってびくともしない。つられて一瞥投げたら、そこには湖があり、眩しさ故に眇めさせられ、思わず眉宇を曲げて顔を反らした。「行ってみるか。」意思疎通ができないのを承知で話しかけ、歩を進める。湖に着くと近くに本を読み耽る女性らしき姿形が。「どうも。」微笑を漂わせて軽めの挨拶をして。 )
読書をするには最適な場所だ。どんな内容?
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