「主」 2019-11-24 22:36:01 |
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(寒さと空腹で注意力が落ちていたがゆえに、致命的な不覚をとった。たかだか生後9か月やそこらのまだ若い野良猫には、自分が恐れる天敵のひとつが突然とった行動の動機が善意と害意どちらによるものかなど、到底わかるはずもなく。)
……ッ!?
(何かされる、されている! と瞬時に恐慌に陥り、奴の両腕の奇妙な黒い毛皮に爪を鋭く突き立てる。が、人間は己を抱えたまま危なっかしく走り出したその足を一瞬も止めようとせず、己もまた、逃げだしたい恐怖心と動きだせない躊躇とでがちりと硬直する有様で。
ずぶ濡れになりながら、ぬかるみに何度か滑りかけながら、苦しそうに喘ぎながら──やがて人間が駆け込んだのは、彼の巣とおぼしき、ヒトの臭いに満ちた場所。猫の耳には雷のように聞こえる音を立てて戸が閉まり、そこに背を預けた人間は、苦しそうにずるずると崩れ落ちた。
緩んだその腕からもがくようにして飛び出すや否や、玄関の行き止まりまで駆けていって距離を保ち、めいっぱい目を見開いて誘拐犯を振り返り。蕁麻疹が浮いてまだらに赤くなったその顔を、金色の瞳でこわごわと見つめ。)
“──おかしい、痛めつけられない?
────むしろ、向こうが弱っている?”
(未だ心臓は身体はこわばっているものの、害する雰囲気がないらしいことを薄々感じとることができた。そのまま未だびくびくしながら、なんのつもりで連れてきたのだろうと、板張りのしんと冷えた廊下に身を伏せてことに構え。)
(/確定ロルを孕んでしまったことの謝罪をさせてくださいませ。くわえて、ごく勝手な邪推なのですが……ダッシュの使い方から、もしかして背後様は相当本がお好きな方なのではないかなどとお見受けいたしました。あなた様の紡ぐ文章がとてもとても好きですと、ファンとしてお伝えさせてくださいませ。)
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