healing DOLL . 小説

healing DOLL . 小説

+  2019-11-13 04:26:08 
通報


 ある日、______ は目を覚ます。
 見覚えのない天井、見覚えのない床、見覚えのない服、そして、見覚えのない自分の顔。
 何も覚えていない。自分の名前すらも。
 そんな全ての記憶が消えた俺の前に、人影が現れる。長い髪、すらりと伸びた手足。女が男か区別がつかないぐらい美しいと形容できる容姿。
 その"人間"は俺を見るなり鼻で笑った。

「また、か」

-*-*-*-*-*-*

頭空っぽキメラ小説 . 不定期更新
暇潰しにどうぞ


コメントを投稿する

  • No.2 by +  2019-11-13 04:59:12 



 またか。俺を見てそう言った人間は、ケテルと名乗った。
 男性なのか。そう問いかけたら、その人間は片側の口角だけを釣り上げ唇を歪ませた。まるで加虐的な意味を含んだ笑みのようにも見える。

「貴様がそう思いたいならそう思えば良い」
「じゃあ……違うのか?」
「性別という無意味な記号でしか人を判別することが出来ないのであれば、好きなように意味づければ良いと言ったのだ」
「……分かった」

 取り敢えずこいつのこと、ケテルのことは男性だと思うことにした。こんな傲慢な女は嫌すぎる。
 性別ぐらい普通に教えてくれればいいのに。それともそう簡単に性別が言えないような事情があるのだろうか。

「しかし、貴様は随分と床が好きなようだな?」

 ケテルの言葉にハッとなり、俺は立ち上がった。横になっていたことすら忘れていたとは不覚だった。更にこいつに言われたのはもっと不覚だ。
 ケテルは俺が立ち上がったのを見届けると、そのまま建物の中へと入っていった。立ち上がることで把握出来たのは、ここが店のような場所の入口であること、そしてケテルと名乗る男が店の中へと、俺のことなど意に介さずに中へと入っていったことだけだ。

 この建物が店だというのがわかった理由は二つ。まずでかでかと掲げられた看板。"healing DOLL "と言う文字がキラキラと輝いている。そしてその下には床置き式の看板があった。

「ヒーリングドールへようこそ……ここは人では癒せぬ傷を癒す場所……か」

 独断と偏見だがセラピー的な場所なのだろう。不思議と惹き付けられる手書き文字の下には、席の値段が書かれていた。もちろんこれも手書きだ。
 S席が二万円、A席が五千円、B席が二千円。席によってかなり値段が変わるらしい。サービスの違いなのだろうか。
 そんな怪しさ満点の場所にケテルは入っていった。店らしい建物に入口に扉はなく、ただただ奥の方へ闇が続いている。明かりはないどころか人の気配すらしない。
 このまま引き返せばまだ俺は日常へ戻れる。そんな根拠の無い確信だけが警告を発していた。だがその理由は分からない。記憶が無いからなのか、それとも人間としての本能なのか。
 でも俺には恐らく選択肢は無い。記憶喪失の男を雇ってくれる場所があるとは思えないからだ。仕方なく、俺は闇がうごめく小さな店、ヒーリングドールへと足を踏み入れた。

[PR]リアルタイムでチャットするなら老舗で安心チャットのチャベリ!
ニックネーム: 又は匿名を選択:

トリップ:

※任意 半角英数8-16文字 下げ
利用規約 掲示板マナー
※トリップに特定の文字列を入力することで、自分だけのIDが表示されます
※必ず利用規約を熟読し、同意した上でご投稿ください
※顔文字など、全角の漢字・ひらがな・カタカナ含まない文章は投稿できません。
※メールアドレスや電話番号などの個人情報や、メル友の募集、出会い目的の投稿はご遠慮ください

[お勧め]初心者さん向けトピック  [ヒント]友達の作り方  [募集]セイチャットを広めよう

他のトピックを探す:個人用・練習用







トピック検索


【 トピックの作成はこちらから 】

カテゴリ


トピック名


ニックネーム

(ニックネームはリストから選択もできます: )

トピック本文

トリップ:

※任意 半角英数8-16文字

※トリップに特定の文字列を入力することで、自分だけのIDが表示されます
※メールアドレスや電話番号などの個人情報や、メル友の募集、出会い目的の投稿はご遠慮ください
利用規約   掲示板マナー





管理人室


キーワードでトピックを探す
初心者 / 小学生 / 中学生 / 高校生 / 部活 / 音楽 / 恋愛 / 小説 / しりとり / 旧セイチャット・旧セイクラブ

「これらのキーワードで検索した結果に、自分が新しく作ったトピックを表示したい」というご要望がありましたら、管理人まで、自分のトピック名と表示させたいキーワード名をご連絡ください。

最近見たトピック