《 彼岸花 》管理人 2019-11-08 20:09:52 |
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>白
──見ぃつけた。お、今日はシロくんか。おっかねえほうじゃなくて良かった。
( 疎ましいほどの日差しは庭から日陰を奪い、心做しか茨をじくりと疼かせる。眩さから逃れるべくふらふら彷徨っていれば片隅に白い繭のような物体を見つけ、隙間から漏れ聞こえた呟きでその正体に気づくと自然に薄い笑みが滲み。屈み込み柔らかな羽根の隙間に手を差し入れ、ふざけた一言と共に暖簾でも持ち上げるように中を暴く。現れたのは無邪気で残酷な天使──ではなく繊細な翳りを持つ青年の顔。その名をわざわざ今気づきましたと言わんばかりに口にする際には"今日は"と相手の存在の危うさを強調するのも忘れずに。しかしあくまで素知らぬ素振りで笑顔を振りまきながら「 お兄さんも寄ーせて。日陰にいないとほら、光合成しちゃうっつーかね 」茨の痕がくっきりと浮かぶ腕を揺らし、冗談とも言えない冗談と共に翼の繭の中へ入れてくれと強請り )
(/初めまして、花吐き病の劔と申します。儚げな白さんも純粋でありつつ恐ろしいハクさんもまさに天使のように魅力的で、お話できるのを楽しみにしておりました…!繊細さのかけらもない息子ですがどうかよろしくお願い致します!)
>優
奇遇だねえチョウチョくん。光に誘われて……って訳でもねえか、蛾じゃあるまいし。
( 洗面台で顔に張り付く汗と花の残骸を洗い、そのまま病室を通り過ぎ廊下へ。いつものように一服してから眠るつもりが迂闊にも煙草を切らしてしまい、売店もとっくに閉まっている以上何かで代用するしかないと渋々自販機を探しに出かけ。ようやく見つけた仄かな明かりの側には薄ぼんやりとした人影、三つ編みを垂らしたシルエットはそのか細い喉から蝶を生み出す彼だろう。珍しい事もあるもんだと緩く片手を上げて声をかけ「 寝れないってんならお喋りしようぜ、ココア一本分 」片手で彼の手の中の缶を指し、空いた手でコーヒーのボタンを押しながら消灯時間を過ぎていることを気にもせず無駄話に誘い )
(/初めまして、花吐き病を担当させていただいている劔です。どこか浮世離れしつつも翳のある優さんにこんなにずかずかと絡んで良いものか…と不安ではありますが、暫しお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願い致します!)
>るい
今度は嘘じゃないって言ったろ? ……あぁ、さては信じてないな。じゃあ質問、
( 己の手のひらの中で明るく色づいたかと思えば訝しげに軋んでいく、その表情に感じるのは自分の言葉が彼の深い所へ響いたという手応え。懸命な訴えにも笑みを深めはするが頷きはしない。僅かに指を立て、蚯蚓腫れを爪で擽るようになぞりながら揶揄に似た調子で相手の疑いを否定する。小馬鹿にする意図など皆無、しかし知らないままでいたほうが幸福な事実をわざわざ吹き込もうとするほうが余程悪質だとわかっていながらもピンと人差し指を立てて「 るいくん。お兄さんの名前、覚えてる? 」今日はまだ一度も名前を教えていない。同室の自分は特別、なんて甘い可能性に自惚れるほどの馬鹿でもなく。疑問形ながらどこか言い切るように告げ )
>シアン
( 名前はシアンだったか、バイオレットだったか。想定外に近づいてきた顔、僅かな光の中でもその双眸に煌めく色へ思考を持っていかれつつ細く息を吸って着火を促し。やがて立ち上った煙をひとまず一口味わえば"そんなもの寄越すな"と趣味の良い揶揄を投げやりに手で払いのけ、ついでに役目を終えた花弁を放り捨てて「 ……花ならお裾分けしてやれるけど。これだと空気感染──経口感染にもなるのかね 」紫煙を零すように呟いたのは奇病患者ではない彼の身の上故。原因も治療法も定かではない病で唯一明らかなのは男への感染。真っ白な肌にはさぞや花が映えるだろう、なんて空想につい昏い笑みを浮かべ「 外国人はスキンシップ大好きって言うけどさぁ、相手はよーく選んどきな。でなきゃ異常患者が奇病患者に早変わりよ、そりゃあ嫌だろ? 」さも相手の身を案ずるような口ぶりで、脅しと願望の入り混じる忠告をすらすらと並べて )
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