! 2019-11-01 16:11:42 |
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――ごめんなさい
(泣き疲れて眠る貴方を見詰めてふと呟く。
前に私は何と彼に言ったか。人殺し、あぶれ者、幾つの汚い言葉を使って貴方を罵っただろうか。貴方を引き止めたいばっかりに。
ねぇ、私知ってるんですよ、ちゃんと。貴方が何時も手を噛んでしまった後に、包帯を巻き直して、決まって二錠飲む「頭痛薬」。本当はもっと違う、貴方のその悲しい病癖を治すためのものだって。知らないと思ってたのだろうか、だとしたら何と莫迦で、私を安心させて呉れるのだろう。優しい貴方を私の許に引き止めて置くために、私はこの二年間全てを費やしたのだ。此処で終わらせるのが一番、何より、そう、素敵。
あの貴方の腕の赫い花が、優しさと贖罪の花が、他の男の人に咲く前に。
抽斗から箱を取り出し、更にその箱からカプセルを纏めて手に移す。貴方の眠るベッドに腰掛けて、一錠、二錠、三錠、手の中から消える迄ゆっくりと口に運び、嚥下する。
そして貴方の背中に自分のそれを預けて。
貴方の目が覚めたら、)
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