! 2019-11-01 16:11:42 |
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ーーーー……。…………ごめん。(視界のあちらこちらを照らしては消える激しい色のライトが煩く、高台から見つめるある少女の心から作られた偽りの世界は、今の自分の心境と比べて見ても可笑しすぎるくらいに真反対で。丁度一年前に出会って恋をした彼女への思いは消えないまま、消えることなんてないまま、彼女の中では消えてしまった。心優しい保健医と全く同じ未来をたどってしまった自分にはあまりにも残酷すぎた、敵の口からこぼれ落ちた『怪盗団の中に付き合ってる子もいるんじゃない?』なんて軽い下品な一言が、戦いから一度帰還した頭の中をぐるぐるとぐちゃぐちゃと掻き乱しては心からも頭からも消え去ることも無く胸の奥を引っ掻き回していく。他の皆には先に帰っていてくれと呟いたのがほんの、数十分前だ。本物の渋谷によく似た偽りの世界を眺めながらふと、渋谷にあのことデートに行ったりなんかもしたっけ。髪をおろした彼女が恥ずかしそうに選んだ服が可愛くて似合っていて、俺にとっては、きっと最初で最後の初恋だった。と思い出を貪りながら徐に、見てはいけないと。見てしまえばもう戻れないと思いながら、ある保険医の作った嘘で塗られた世界から脱出した時に何故か残っていた、彼女から貰ったバレンタインチョコレートの飾りのテディをコートのポケットから取り出しじっと見つめると大切そうにぎゅっと抱きしゃがみこむと頭上から優しいテノールで自分の名前を呼ぶ声が聞こえて、ゆっくりと顔を上げると、心配そうに狐の面越しに己を見つめる彼が後ろに立っていて。これまた暖かく優しくもう帰ろう、蓮。休もう。と言うものだから耐えきれず、瞳からぼろ、と大粒の涙がこぼれ落ちてしまい、ああ、抑えられないと立て続けにぼろぼろと流しては彼は驚いた顔をしたあと自分のすぐ側まで寄って目線を合わせてしゃがみこんでくれる。それに縋るようにテディと反対の腕で彼の腕をぎゅうと掴み握りしめながらしゃくり上げるも何を言って良くて、何を言っちゃダメかも分からなくて、声なんて出ない。ただただ涙を流し引き攣るような呼吸を漏らし表情さえ隠すように俯きながらぽつと呟いて)っ……有、難う……っ。
『/場所の提供感謝致します。
5R→5Sでviolet(記憶消去)→←JOKER←FOXでどなたか刺さる方いらっしゃいましたら是非勧誘大歓迎です。』
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