三丁目のミケネコさん 2019-10-09 00:25:06 ID:9a01706f8 |
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(彼は何故こうも優しくあれるのだろうか。耳から浸透していくその言葉一つ一つにどうしようもなく胸が締め付けられる、その触れた指先から熱が伝わってくるのが今はどうしようもなく愛おしくそして慈悲深かった。こんな都合の良すぎる迄の言葉に縋ろうとする弱い自分自身を決して許したくはないのに、彼の涙が数滴己の手の甲に垂れたのを感じるともうそこからは視界が歪み只々相手と同じ様に涙を流す。頬を垂れ服を濡らさんとする止めどない涙に詰まる喉にも、何年ぶりに泣いたのかさへ分からなくなっており。姉が死んで以降枯れてしまったと思っていた眼の露に今は抱き締められる温かさを手放したくなく、「私だって怖かった。貴方に全て打ち明けてしまいたくなってしまうんです。そんな事許されないのに、だって…」力無い言葉の語尾には、…私は柱だから。と付け足して強く抱擁される彼の背中にひしっと手を回し今は今だけはと彼の方に自分の顔を押し付け、「命を捨てるつもりでいるのに、そんな風に言われると死ぬのが怖くなってしまいます。…貴方と共に生きる明るい未来に憧れを抱きそうになる。」悲痛に絞り出した声を嗚咽を交えて言い放つと、顔を離し相手の目元を指でなぞると困った笑みを讃えて。)
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