月光と餌

>>欅坂くるみ様
（ソファーに腰掛ける姿は昔こっそりと読んだ本に出てくる東洋の人形のようだ。それはそれは、ビスクドールにも引けを取らない美しさ。きっと、この少女の家にはこういった椅子があるのだろう、大切に育てられてきたのだろう…街に出れば、きっとすぐにこの少女の痕跡は見つけることができる。小さな足を目を細めて確認しては、客人用の履物では大きすぎるだろうかなどと…餌に対して随分と優しい対応をするものだと自嘲すら）
承知いたしました…少々お待ちください
（扉を閉め、そうして客人用の部屋に入れば簡易的な履物を手に取る。少女の足に合うものを、灰被りとは似ても似つかない可憐な彼女に見合うものを。それから執務室に立ち寄れば、銀の桶と水差し、水差しには人肌程度のお湯を。あとはキメの細かいタオル…と保湿クリームにパウダー…全てを盆に乗せれば再度広間へ足を向け…重たい荷物片手に扉を開けることも慣れている）