《 隠れんぼ 》〆

________ 春田 薫 ,


ん 、こんにちは 。
( 目を閉じていれば 、バタバタと聞こえる足音 。自分の方へとそれが近づいてきていることに気づいていながらも特に変化を起こそうとする気はなく 。それでも 、自身の髪を退けて声をかけてきたため流石にここで反応しなければ後々面倒なことになるだろうと 、薄く目を開く 。ぼんやりと見えたその顔は数年前 、東京体育館にて見かけた一目惚れした相手 。忘れるはずもない彼の綺麗な顔が今目の前にあることに胸打つものがあり 、思わず頬が緩みながら小さく挨拶 。『 生きていますよ 、ご心配おかけしました 』上半身を起こして相手の心配をなくすような言葉述べては 、腕を天井に向かって伸ばし 、まるで朝身体を起こすかのように呑気に伸びをして )



________ 杉本 佐一 ,


うう 、アシリパさん ... おはよう 。
( 乱暴な起こし方はいつものこと 。布団の中で唸り声をあげながら未だ開かない目で相手を捉えて 、Tシャツの中に手を突っ込み腹を掻きながら挨拶 。カーテンから溢れんばかりの太陽光に導かれるように起き上がれば『 キノコ ... 』と相手の小言に反応していて 。次の瞬間 、飯というワードを聞けばピクンと身体が反応する 。彼女の料理は少し野生的ではあるが旨いことには変わりない 。1日の初めに彼女の料理を食べるのが楽しみでもある 。『 はあーーい 』間延びした返事をしながら洗面所へ向かい 、顔を洗い終われば寝癖を直すことなく居間に戻ればちょこんと胡座をかいて座り )