BL

ハダリー)…良かったっす。

リリス)…何がだ？

不思議に思い、首を傾げつつも

グラジオラス)…いって。

仕事でとある組織に忍びこもうとしていたが読まれていたのか乱闘になり対応しようとするが数的に不利で結局かなり怪我して

フライデー)…うん、感覚は戻ったわね…。

相手を完膚なきまでに叩きのめし、
満足そうな笑顔を浮かべ

**

リリス)…そろそろ、ボスが帰ってくるな。

グラジオラス)あ~、いってぇなぁ。何発か弾当たっちまった~

ボソボソとそう言ってアジトに帰ってきた。グラジオラスもそうだがグラジオラスの護衛だった奴はボロボロで死者はいないものの重傷者は何人もいて

リリス)…お帰りなさいませ、ボス…って！
…その怪我は、どうなさったんですか！

笑顔を湛えていたものの、すぐに血相を変え

グラジオラス)ちょっと怪我した…。

そう言いながらも軽く相手にもたれかかって

リリス)すぐに救急係を呼ばないと…！

急いだ様子でスマホからコールし、
救急係の少女・フローラを呼び出す

フローラ)…は、はい…お呼びでしょうか。
救急係のフローラ、只今参上しました…。

いかにも気が弱そうで、小柄な少女が
ナース服を身にまとい、救急セットを持って
顔を出し

グラジオラス)……別にいい。

フローラには興味ないのかそう言うとすたすたと歩いていこうとしていて

フローラ)…だ、だめですよぉ…
そんな怪我で、無茶したら…。

おどおどとしながらも、相手を心配し

リリス)…ボス、無茶はいけません。
フローラで心配なら私も手伝いますから…。

グラジオラス)…はぁ、わかった。リリスもするなら治療受ける

リリスもするっと言った後驚くほど素直にきく。疲れているからか周りから見ても明らかにグラジオラスの気持ちは言動に出ていて

リリス)では、そこに座っていただけますか？

椅子を指差し

グラジオラス)……ん。

静かに頷きながら椅子に座って

フローラ)…消毒薬です…。

フローラが布に消毒薬を付け、リリスに渡す

リリス)消毒しますが…沁みませんか？

受け取った布を優しく傷口に当て

グラジオラス)……いっ…！

あまり声は出さないがやはりしみるのか体がビクッとしていて

リリス)大丈夫ですよ…もうすぐで
終わりますから。

心配そうにしながら、消毒していく

グラジオラス)…ありがとう。

俯きながらそう言う。やはりリリスが特別なのか少し嬉しそうにしていて

リリス)フローラさん、消毒終わりましたよ！

フローラ)…あ、じ、じゃあ…次は、
このガーゼで、止血してください…。

真っ白なガーゼをリリスに手渡し

リリス)はい。…止血しますね？

ガーゼを傷口に押し当てるとじわじわと
血が滲み

グラジオラス)……そこまで丁寧にしなくていい。

そう言いながらも落ち着かないのかガサガサし始めて

リリス)…駄目です。きちんと
手当てしないと、膿になりますよ？

少し困ったように眉尻を下げ、微笑む

グラジオラス)…別に誰も悲しまねーし大丈夫

そう言いながらも片手で煙草をとって口にくわえる

リリス)…私が悲しみます。

真剣な、それでいてどこか哀しげな表情をし

グラジオラス)俺のことなんて別に気にしてねえーだろ。

吐き捨てるようにそう言いながらもタバコに火をつけて

リリス)…何故、ボスは…自分を
卑下するのですか。…私は、ボスが…。

少し言い淀む

リリス)………治療、終わりました。

乾いたような喋り方になり、フローラに
お礼を言って訓練室へと向かう

グラジオラス)お前が大切に思ってるのは俺じゃなくてハダリーだろ？

そう思っていたのか俯いたままそう言って。治療が終わって相手が居なくなるとはぁ…っと深いため息をはいて

フライデー)あら、リリス。どうしたの？
顔色悪いけど。

リリス)…いえ、何でもないですよ。
それより、フライデーさん。
筋肉大丈夫でした？

フライデー)ええ、バッチリよ。
気のせいだったみたい。

困ったように微笑み

グラジオラス)あ~死にてぇ~

なにかミスしたのか？と思いながらもそう言って煙草を何本もすって

ハダリー)あ、リリス兄さーん！

手を振りながら、リリスの元へ

リリス)…ハダリー。

やって来たハダリーをぎゅうっと抱きしめ

ハダリー)…えっ、リリス兄さん。
どうしたんっすか、急に…。

グラジオラス)…あ~くそっ！

なにかモヤモヤしているが近くに相談する相手も居ないし誰に相談していいのかもわからないため椅子を蹴ってぶつけることしかなくて

リリス)…いや、何でもない。

ハダリー)そうっすか？変な
リリス兄さんっすね。

首を傾げながらも廊下を走り去る

フライデー)リリス、書類の整理はいいの？

グラジオラス)……。

どんよりしてしまったが気持ちを切り替えようと自室に向かおうとしていて

リリス)…………。

自室に篭り、書類を整理している。

グラジオラス)……おーい。

自室に戻ろうとしたがやはり気になってリリスの部屋をノックする

リリス)…はい、何のご用でしょうか。

書類を整理する片手間に返事をしたため、
少し冷淡に聞こえて

グラジオラス)……さっき…悪かった…

ドア越しにそう言いながらも俯いていて

リリス)……ボスですか。
私は気にしていませんから、大丈夫ですよ。

少しだけ早口に述べ

グラジオラス)……ごめん。

ただ静かに謝ることしか出来なくてドアの前で座り込んで

リリス)………カギ、開いてますから。
入りたければご自由にどうぞ、ボス。

ため息を吐きつつ

グラジオラス)…お、う。ありがとう…

そう言いながら部屋に入ると適当に床に座る。そしてつけ足すように｢お前がああ言ってくれると思ってなかったから…嬉しかったよ。でも…リリスは…ハダリーが…｣と言い淀みながらもそう言って

リリス)………ハダリーは可愛い弟です。
ですが、私が貴方に抱いている感情は
それとは違います。

書類の束を机に置き、相手の元へと歩み寄り

グラジオラス)……そうか…

こうゆう時どういう反応すればいいのか分からなくてただ目が泳いでいて

リリス)………直接言わないと
お分かりになりませんか、ボス。
私は、貴方が好きです。

普段となんら変わらない表情でさらりと言い

グラジオラス)…ふ~ん……はぁっ！？

聞き流そうとしたが、ビクッと肩が揺れる。ほんとに驚いたのか目を丸くしたまま相手を見て

リリス)………言葉のままですよ。
貴方が、上司としてではなく好きなんです。

表情はぴくりとも動かないが、耳だけが
少し熱を持っており

グラジオラス)…んだよ。ならあん時ハダリーに釘刺さなくても良かったんじゃねぇか。

満足そうに受け入れながらもポロッと後半ボロが出る。

リリス)……ハダリーに釘を刺す？
どういうことですか。

首を傾げ

グラジオラス)……ハダリーに｢リリスはお前に興味無い、リリスは俺を想ってる｣って…1度言ったことがある。

そう言いながらも苦笑いしていて

リリス)…ああ。私はハダリーも好きですよ。

納得の行った様子で手を叩き

グラジオラス)…誰でもいいんじゃねぇか。

拗ねたようにそう言いながらも頭をかいて

リリス)………あいつは、弟です。
貴方は、女性が男性に向けるそれと
同じように好きですよ。

少し苦笑し

グラジオラス)…言うだけなら誰でも言える…

ボソボソと言いながらも目をそらす。信用してないように言っているが耳は真っ赤で本当は嬉しくて

リリス)………行動で示しましょうか？

相手の頬に両手を添え、ゆっくりと唇に
口付けを落とし

グラジオラス)……ま、まじかよ…

耳だけでなく顔も真っ赤になる。いざ行動されると心臓がバクバクするぐらい自分も好いていて

リリス)……お分かりいただけましたか、
私の気持ちは？

少し悪戯っ子のように笑ってみせ

グラジオラス)……俺も、好きだよ……

そう言って立ち上がるとリリスをぎゅっと抱きしめて

リリス)ありがとうございます。

ふわりと相手の頭を撫で

グラジオラス)誰にも渡さねぇ…俺のリリスだ。

そう言いながらも嬉しそうに笑う。普段ボスとしてあまり笑うなんてしたこと無かったため珍しい

リリス)…あはは…私は皆の物ですよ。
ハダリーも、フライデーさんも、
これからも仲良くしていたいですし。

また苦笑し

グラジオラス)……ふーん。

抜けた返事を返しながらも｢俺が特別って言わせてやる｣と耳元で囁いて相手に襲いかかるような深いキスを落として

リリス)………んっ……！？

突然のキスに籠った声を上げることしか
出来ず、ただ顔を真っ赤にして

グラジオラス)んっ……ふぁ…っ…

相手の口内に舌を入れると相手の舌を絡めて

リリス)………ぅん…ッ…

動きをぎこちなく相手に合わせ


フライデー)リリスー！
…あら、お取り込み中かしら？

ドアを勢い良く開け放つと、
リリスたちを見つけ

グラジオラス)…はぁ…っ！お、おま…ドア、ノックしろよ！

焦って口を離すとそう言って居ずらくなったのか部屋から出ていこうとして

フライデー)あら。大丈夫よ、ボス。
私、着替え取りに来ただけだし、
別に続けてくれてても良いわよ～。

口許に手を当てるとくすくす笑い

リリス)……あの、もう少しだけ…
構いませんか？

相手の服の裾をくいっと引っ張って

グラジオラス)……わかった…。

リリスに止められるとそう言って部屋には居るがフライデーがいるからかキスはしないで横にいるだけで

フライデー)…やぁっと付き合ったの？
ワンちゃん、凄く気にしてたのよ。
リリス兄さんに恋人が出来る日は
いつになるのかーって。

着替えを探りながら言い

リリス)……ハダリーにまで心配を
掛けていたとは。

グラジオラス)付き合うとか…まだんなの分かんねぇ…。

仕事上誰かと｢付き合う｣なんてことがなかったため分からなくてそう言いながらも目を泳がせていて

フライデー)ふふ、リリスは
好きでもない人とキスなんてしないわよ。
リリスが潔癖症なの、知ってるでしょう？

にこりと微笑み、着替えを取って出ていき

グラジオラス)そう言えば極度の潔癖だもんな…

そう言いながらもそこまで好かれているんだと自覚したのか顔が真っ赤になる。

リリス)……貴方になら、キスされてもいいと
思ったので…。

真っ赤な顔を逸らし

グラジオラス)…あっそ…

素っ気なさそうに返すが嬉しかったのか、ぎゅっと相手を抱きしめるとゆっくりベットへ押し倒して

リリス)………！？

急に押し倒されたのでびっくりしたようで

グラジオラス)…ほんと…好きだ。

そう言いながら力強く抱きしめて

リリス)…私もですよ。

相手の背中に手を回し

グラジオラス)……いい？

そう言いながら自身を相手に押し付けて

リリス)………ダメですよ、流石に。

眼鏡を押し上げ、普段の顔に戻って

(申し訳ないです、裏はなしで
お願いしても大丈夫でしょうか…？
マナー違反になってしまいますので…)

グラジオラス)……わかった。

そう言いながらもゆっくりと相手から離れて


(了解です。)

(申し訳ないです…参加させて
いただいているのに)

リリス)……キスの続き、しないんですか。

ぷいっとそっぽを向きながらも耳は赤く

グラジオラス)俺の心臓がもたねぇーからまた今度。

そう言いながら軽く相手にデコピンする




(大丈夫っすよ_(-ω-_)⌒)_)

リリス)………はい。

書類の束を持つと、また仕事に戻り

グラジオラス)…あ~もしもし？お前大丈夫だった？あ？リックが重症…？マジかよ。わかったすぐ行くわ。

ベットに横になっていると電話がなったため電話に出る。あまりいい話でもなかったため少し焦りながら部屋から出て外へ向かう

リリス)………これはこっちで……。

また仕事を再開し

グラジオラス)はぁ？そんな今回の仕事大変だったか？…刺客？んなのいねぇーよ出会ってねぇ。

足早に外に出ると電話中に添付されていた病院に向かおうとしていた。

フライデー)リリス、仕事手伝うわよー。

ドアを開けて

リリス)…ああ、ありがとうございます。
では、この書類を…。

書類の束を渡して

フライデー)ん、分かったわー。

グラジオラス)……刺客…んなの…

電話しながらそう言いながらもぴたっと動きを止める。敵に囲まれてるのに気づき逃げようとするも何人かさえ把握出来ない。気配はするものの物陰から出る様子もなく動けないでいた

ハダリー)……ん？なーんか、
嫌な匂いするっすねぇ…。

ちょうど外に遊びに出ていたハダリーが
匂いを嗅ぎ付けたらしく、
物陰へと歩いてきて

グラジオラス)……本領発揮ってとこ？

無茶も承知で二丁の銃を構えると周りに牽制する。自分が動くと直ぐに相手が動いてきて何人かはこちらに向かってきた

ハダリー)………ありゃ、何っすかねぇ。

相手の元へとことこと歩いていき、
首筋に一撃

グラジオラス)おうおう…お前もとんだハズレくじ引いたなぁハダリー。こんな所来んじゃねぇよ帰れ

敵2人は確実に頭を撃ち抜き倒しながらもそう言ってハダリーまでも牽制する。牽制と言っても言葉だけで銃はクルクルと回してる。まだ敵がいるが隠れてて場所が分からない

ハダリー)……あっちの陰と、俺の真横に
隠れてるっすよ。

すん、と鼻を一度鳴らすと言い

グラジオラス)場所が分かれば十分だ、早く帰れ。

明らか異様な気配の消し方に疑問を覚えたのか珍しく庇うようにそう言って1人で物陰へと足を進める

ハダリー)………んじゃ、失礼するっす。

去るついでに自分の真横にいた相手の
股間を蹴り上げ、颯爽と立ち去る

グラジオラス)……やっぱお前かよ…。

物陰へ足を進めると敵ではあるが見覚えのある男がニコニコと笑っていて

？)やぁ！元気だった？にぃさん！

ニコニコと笑いながらそう言って相手に近づくとぎゅっと抱きつく。だが、警戒したすぐにグラジオラスに距離を取られて

↑(警戒したグラジオラスにすぐ距離を取られ)

ハダリー)ただいまっすー！

？)あ、ハーちゃん…お帰り～。

いかにも優しそうな少年がハダリーに
呼び掛け

？)…おう、ハダリーかよ…お帰りィ。

その横にいるガスマスク姿の青年も呼び掛け

ハダリー)…なぁんで、ヴェルゴと
メーベルが居るんっすかねぇ。

ヴァルゴ)んふふ、良いじゃんか。
いっつも縁の下だからさ～、たまには
ハーちゃんのいる表に来よっかな～って。

メーベル)…るせー、俺らの勝手だろ。
俺は殺人鬼だ。警察なんかは嫌いなんだよ。

一人はにこにことした笑みを浮かべ、
もう一人はそっぽを向いて吐き捨てる

グラジオラス)…誰がにぃさんだ。お前と離れてから縁も切れたはずだが？

淡々とそういいながらも相手に銃口を向け発砲する。確実に殺す気で撃っている。体術で勝負した方が勝てる確率は上がるが傷口が開くのを気にしていて

？)冷たいなぁ~…。でも、嬉しいなぁ。俺が勝てるように銃撃戦選んでくれてるし？

そう言いながらもグラジオラスの攻撃を受けつつ相手の腕にかするように撃つ。銃撃戦ではグラジオラスより上の実力を持っている

ハダリー)…じゃー何で、ここに来たんだよ。
リリス兄さんに迷惑掛かるだろ…！

いつの間にか語尾が抜けており

ヴァルゴ)別に良いじゃんか～。
リリスさんって、凄く優しくて
強いんでしょ？

メーベル)…強い奴が好きなんだよ。
格闘術のスゲえフライデーって女、居るだろ。

フライデー)あらあら、ワンちゃん。
お友だちかしら？

ハダリー)あ、フライデーさん…！
一応、そうっす。腐れ縁っすけど…。

メーベル)アンタがフライデー？

ぶっきらぼうに問いかけ

フライデー)そうだけど…
何かキミ、見覚えあるわね。
……あぁ、新聞の！殺人鬼だっけ？

メーベル)…おう。アンタ、
強いって聞いたからよ…。

フライデー)手合わせくらい良いわよ。
特訓室行きましょ。

メーベル)……ん。

二人で特訓室へ向かい

グラジオラス)…ってぇなぁ…。わかったから、さっさと帰れよ。

何発か急所をワザを外され痛みで立てなくなってる中そう言って相手を睨む


？)一応さ？楽しいことがあるって聞いてきたけど…なんかつまんない。にぃさん弱くなったし僕もう帰るね。

こちらも切り傷を負っているが無痛に近いのかヘラヘラと笑いながらそう言って居なくなって


グラジオラス)…なんで誰にも従わねぇアイツがここにいんだ…。ボスでも出来たかよ？

その場で倒れながらも独り言を言って、その後リリスに電話して動けないことを伝える

リリス)…はい、分かりました。
すぐお迎えに上がります。

書類仕事を放置し、車を運転していき

グラジオラス)やべぇ~…マジで死ぬ…

流れている自分の血を見ながらそう言って空を眺めていて

リリス)ボス！大丈夫ですか！

普段着で飛び出してきたのか、
Tシャツにジーパン姿、コンタクトで
焦ったように相手に駆け寄り

グラジオラス)本気で…致死量出てる気がする…

弟は完全に人の体の仕組みを理解してる。グラジオラスと違い生粋の殺し屋で人を殺すことだけが快楽のやつだ。誰かに付くという訳ではなく単独で動く

リリス)フローラじゃ無理ですね…
医者に行かないと…。

相手を担いで車に乗せ、急いで医院へと
車を走らせて

グラジオラス)……。

血を流しすぎたため貧血で気を失って

リリス)すみません、急患です！

医院の扉に呼び掛ければ、
煙草をくわえた気だるげな女性が顔を出し

？？？)…はァい、誰…？

リリス)貧血で意識不明なんです！

？？？)…ン。…ついてきなよ。

女性がリリスを先導して歩き始め

グラジオラス)…んっ…

うなされてるのか苦しそうな表情で冷や汗も出てきて

？？？)…着いたよ。…ソイツ、貸して。

リリスに手を見せて

リリス)…はい。

女性医師にボスを渡し

？？？)…はァい、どうも。
また明日来て下さいねェ。

グラジオラス)…ｺﾞﾎｯ…ｺﾞﾎ…

苦しそうに咳が出ていて

？？？)…ンあー…大丈夫ですかァ？

気だるげに煙を吐くと相手を見つめ

グラジオラス)んん…っ…はぁっ…

ほぼ気合いでゆっくりと目を開けたが息も苦しそうでさっきより血は流れてないが危険な状態で

？？？)…じゃないですねェ…ちょーっと
痛みますけど、我慢しててくれますかァ…。

指を消毒し、傷口に指を押し込む

グラジオラス)~っっ！…ってぇ……よ

声にならない声を出しながらも痛みに顔を歪めるが動かないため抵抗もできなくて

？？？)うん……貫通してますねェ。
…あー…面倒くさい…イチロク～。
麻酔と手術道具一式～。

指を引き抜くと、看護婦らしき女性を呼び

イチロク)…はァい。

看護婦が麻酔と手術道具を持ってきて

グラジオラス)……さわ…んな。

最後の力を振り絞って言った言葉は相手を警戒するものだった。痛みで汗も出ていて顔色も良くない、そんな状態にもかかわらず警戒心だけはあって

？？？)…うるさいですよォ…患者さん。

煙草を吹かしながら相手を見つめ

グラジオラス)……は…きそ…

苦しそうにそう言いながらも必死に意識を保っていた体が限界を迎え意識が途切れる

？？？)…イチロク～、麻酔～。

看護婦が頷くと麻酔をかけて

イチロク)…センセェ…弾丸ありますゥ…。

？？？)…はいよォ。

周りの肉を抉らないよう、
慎重に弾丸を取り除く

グラジオラス)……。

麻酔で眠っているため何もわからなくて

イチロク)……どうしますゥ…？

？？？)…とりあえず止血とォ、応急処置…
後は絶対安静だねェ～。

やる気なさげに煙草を吹かしながら

イチロク)…分かりましたァ…
麻酔、絶ちますねェ…。

看護婦が麻酔の供給を停止させ

グラジオラス)……。

麻酔の影響もあるのか気持ちよさそうに眠っていて

イチロク)…患者さァん…起きてくださァい…。

看護婦が相手をぐらぐら揺すり

グラジオラス)…んん…なんす…か…

ゆっくりと目を開けると一般人を装ってるのか弱々しくそう言って

イチロク)…処置、終わりましたよォ…
後はァ…一週間は絶対安静で
お願いしますゥ…。

看護婦が相手に告げ

？？？)…後ちょっと遅かったらァ、
死んでたよ。あの子に感謝しときなよォ。

煙草を吹かしながらも真剣な口調で言い

グラジオラス)…そう…ですか。はぁ…＊＊なかったか

安全に関しては同意していたが生きれたことに関してはそう言ってため息をついて

？？？)…はァ…あの子に連絡するから、
待ってな…。

煙草を灰皿に押し付けると、ポケットから
スマホを取り出して何やら話し始め

グラジオラス)……。

俺が居なくなればあいつらは自由に生きていけるんじゃないかなんてめんどくさくこじらせていて

？？？)…すぐ来るってよォ。

通話を終えて戻ってきて

グラジオラス)…誰も…呼ばなくてよかったんだけど…

弱々しくそう言いながらも起き上がろうとするが痛みで手に力も入らなくて

リリス)連絡ありがとうございます、
迎えに来ました…。

眼鏡は掛けていなくて、コンタクトで

？？？)…はァい。2万ね。

会計を済ませると、リリスが駆け寄り

グラジオラス)……んだよ。

大怪我したのがかなりメンタルに来てたのかいつもより弱々しくそう言いながらも相手を見ないように目を逸らして

リリス)…ボス、ご無事でしたか…。

心配そうな表情をして

グラジオラス)あぁ…しぶとく、生きちまったよ…

そう言いながらも苦しそうに苦笑いしていて

リリス)…良かった…心配だったんです。

ほっとしたような表情をして

グラジオラス)俺が死んだら……組ぶち壊して…みんな、自由になれたのにな。

どこか真剣そうにそう言って痛む体を無理やり起こす

リリス)…少なくとも私はそんなこと、
望んでいません。それに…例え組を抜けても、
生きていく術など会得していませんから。

哀しげな表情になるとぽつりと呟き

グラジオラス)俺…、結構お前達のこと…家族みたいに思ってる。組入れたのだって救いたかったからだ。ｺﾞﾎｯ…ｺﾞﾎ…でも、この世界甘くない。殺すか殺されるかしかない…そんなとこ辛いだろ…？

弱っているのかボロボロと本音を言う。まるでほんとに最後にするかのような哀愁を漂わせて

リリス)……そんなこと、とうの昔に
知っています。
それでも。…私は、貴方と一緒に居たい。

相手にゆっくりと近付いてキスをし

グラジオラス)……ん…っ…

キスされると今まで誰にも言えなかった不安や葛藤が全て襲ってきたのかポロポロと涙が流れて

リリス)…ボス。好きなだけ、泣いてください。

ふわりと頭を撫でて

グラジオラス)おれ…何年かぶりにな…いた…

静かに水が流れるようにポロポロと涙を流していて

リリス)……全部、話してください。
貴方の事なら、何でも知りたいんです…。

優しく頭を撫で続け、にこりと微笑んで

？？？)…あー…お楽しみ中に悪ィけどよォ…
帰ってからやってくんないかな？
うち、病院だから。

煙草を吹かしながら不機嫌そうに言い

グラジオラス)……っ。悪い…

本音を言えそうな気になっていたが医者の言葉に口を噤み俯く。ここじゃないどこかに行こうと考えてみるも少し足を動かすだけでも激痛で顔を歪める。

リリス)……戻りましょう、ボス。

相手の背中に手を回して

グラジオラス)…体動かねぇーよ…

苦しそうにそう言いながらもリリスに捕まることさえ出来ずに

リリス)…背負いますから、乗ってください。

床に屈み込み、相手を背負うような
格好になって

グラジオラス)…ぐっ……

相手は安定感があるもののやはり痛みが強くて

リリス)…大丈夫ですか？すぐ、
車に着きますから。

心配そうにしながら、相手を背負って
車の方へ歩いていき

グラジオラス)…大丈夫…。

そう言いながらも力が入ってなくて

リリス)…車、着きましたよ。
シートに寝ててください。

相手をシートに寝かせて

グラジオラス)…派手にやられたなぁ……

そう言うとどこを見るわけでもなくぼーっとしていて

リリス)…………。

無言で車を走らせていて

グラジオラス)…後ででいいからハダリーと話したい

ぼーっとどこかを見ながらもそう言ってゆっくりと体を起こす。激痛に変わりはないが痛みにも慣れてきたようで

リリス)…ハダリーと？構いませんが…。

着いたらしく、車を止めて

グラジオラス)…きつく当たりすぎたからな。

そう言いながらもゆっくりと座席をつたいながら立ち上がって車から降りる。みんなに見られそうな場所で手を借りたくないようで

リリス)……ハダリーにコールしてみますが…
来るかどうかは微妙ですね。
…今、ヴァルゴとメーベルが遊びに
来てるそうなので。

ハダリーに電話を掛けるが、すぐに切って
首を振り

リリス)…もう少し待ってくれ、とのことです。

グラジオラス)…分かった。

自由だなぁ…まーそこがいいとこか？と心の中で自問自答しつつゆっくりと自分の家へと足を進める。中に入れたのはいいが足は引きずり手は震えて自分で自分を惨めに思えてきてまた苦しくなる

リリス)…ボス、無茶は…。

心配そうに歩み寄り


ヴァルゴ)あれ？リリスさ～ん！

間延びしたような呑気な声が聞こえ

グラジオラス)…とりあえず自分の部屋まで行けたら上々。

自室は一番奥なためゆっくりとそこに行くために歩いていて

リリス)…ヴァルゴさん？どうしたんですか。

相手を心配そうに見るものの、声の方へと
歩いていき

グラジオラス)……。

ゆっくりと歩いていたが疲れたのか廊下の壁にもたれ掛かりながら座り込んで

ハダリー)……ボス。何してるんっすか。

相手を見つけて呼び掛け

グラジオラス)ハダリーか…ちょうどお前に話があったんだ。

そう言いながらも立てないのか座り込んだまま相手を見上げて

ハダリー)…何すか？

相手にゆっくり近寄り

グラジオラス)…お前にちょっと…当たりすぎたと思ってな…

そう言った後｢しゃがめよ｣と弱々しく呟いて

ハダリー)…別に、気にしてないっす。

素直に従い、その場にかがみ込み

グラジオラス)俺は気にしてた…。

力が入らない状態のまま弱々しくではあるがゆっくりと両手で頭を撫でる。リリスを慕うのは過去に慕える人がいなかったからでハダリーの中にはリリスが大きい。リリスの代わりになろうとは思わないしなれなのは分かっているが今だけは兄や父のような存在になりたくて

ハダリー)急になんすか。…気味悪いっすね。

されるがままになっているが、
怪訝な表情をして

グラジオラス)…別に言いたかっただけだ。

何分かわしゃわしゃと撫でると相手を押してもういいと言って

ハダリー)…そうっすか？
んじゃ、失礼するっす。

すくりと立ち上がり、廊下の向こうへと

グラジオラス)……はぁー。

相手がいなくなるとため息をつきながらゆっくりと立ち上がってまた自室に向かう

フライデー)あら、ボス。大丈夫？

訓練室から出てきて、相手を見つけて

グラジオラス)あ、あぁ…大丈夫だ気にすんな。

強がりなのかそう言うと相手の横を通っていこうとするがかくんっと膝折れを起こして

フライデー)大丈夫じゃないでしょ。
ほら、肩貸すわよ。

相手に肩を貸そうとして

グラジオラス)…ん、ありがとうな。

普段ならあんまり人に頼らないが珍しくお礼まで言って頼ると相手の肩に腕を乗せて

フライデー)良いのよ。
…ってかボス、結構軽いわね。

ひょい、と軽々腕を支えて歩き始め

グラジオラス)それでも体重は…ぐらいある。

軽いか？と不思議そうにしつつ体重を言いながらゆっくりと歩くことに集中し始めて

フライデー)…ああ、アタシが重過ぎるんだわ。
全身筋肉だもの。

けらけらとおかしそうに笑って

グラジオラス)女性は…色んなところに肉付きやすいから仕方ない。男と体の作りが違うからな。

励ますようにそう言いながらちらっと胸の方に目をやるが直ぐに逸らして

フライデー)そうよねぇ。要らない所にまで
肉が付いちゃうんだもの。
…はい、ボス。着いたわよ。

部屋の前に着く

グラジオラス)ありがとうな

そう言いながらゆっくりと部屋に入るとベットに横になる。多少動いたからか包帯に血が滲んでいて

フライデー)…大丈夫なのかしら。

首をかしげながらも、部屋の前から立ち去り

グラジオラス)…ちょっと寝るか…

そう言うと重い体をモゾモゾと動かして布団をきる。壁向きに寝返りを打つとそのまま目を閉じて

メーベル)…今のが、あんたのボス？

ひょこ、と訓練室から顔を出して

フライデー)ええ、そうよ。
言っておくけど、殺しちゃダメよ？

相手に笑いながら諭し

メーベル)…わーってるよ。

グラジオラス)……

寝ようとは思ったもののいざ寝ようとすると寝れなくて、かと言ってすることも無いため天井を眺めて

フライデー)…ふふ、ボスも照れ屋なのね。
リリスとそっくりだわ。

メーベルが訓練室に引っ込むと、少し呟いて
自分も入り

グラジオラス)あ~…体動かしてぇ…リリスに会いてぇ…

体動かすと大きな声で言うがリリスに関してのことはボソボソと小声で言って

リリス)…っくしゅ！

ヴァルゴ)あれ、リリスさん風邪ですか～？
最近寒いですからね～。

お喋りしながらもにこにこと微笑み

リリス)…すみません、ご心配をお掛けして…。

ヴァルゴ)大丈夫ですよ～。

グラジオラス)……ん…

いつの間にか寝てたみたいだ。外はもう日も落ちていて自分の部屋が真っ暗になっていたが電気をつけようと動く気にもなれなくて

ヴァルゴ)じゃあ、僕はこれで～。

手をヒラヒラと振り、廊下の先へと消える


リリス)…ボス、少しよろしいでしょうか？

ボスの部屋のドアをノックし

グラジオラス)……ん~…

気の抜けたような声で返事を返して

リリス)失礼します。体調の方は…。

入ってくるなり心配そうに言い

グラジオラス)ちょっと寝たらマシになった。

起き上がるとそう言って満足そうな顔で笑っていて

リリス)そうですか…
それなら、良かったです。ヴァルゴさんも
心配していたので…。

ほっとしたような表情になり

グラジオラス)ヴァルゴ…？まー心配させて悪かったな。もう大丈夫

自分の家族以外にほぼ興味はなく不思議そうに首を傾けながらもそう言って

リリス)ヴァルゴさんは…あれですよ。
うちで使う薬なんかを作ってくださっている
薬局の方です。

苦笑いをし

グラジオラス)…そうだっけ？覚えてねぇーや。

そう言いながらもほんとに知らなかったのか驚いた顔をして

リリス)…それより、御無事で何よりです…！

相手の横に腰掛けて

グラジオラス)…治るのにもうちょいかかると思ってたけど、痛みが直ぐになくなったからな。

そう言いながらも多少は血が出ていた。痛みはないが横にリリスがいるからか心臓が早くなって

リリス)…そうですか、良かったです。
…？お顔が赤いようですけど…熱ですか？

こつん、と額を合わせて

グラジオラス)ね、熱は…ない

相手の行動にビクッと肩を震わせるが大丈夫と言って相手の肩を押す

リリス)それなら良いんですが…。

少し不服そうな表情をしたが、離れて

グラジオラス)急に近づくな。焦るだろ…。

そう言いながらも照れくさそうに手で顔を隠して