白 2019-07-14 21:11:38 |
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つまらない、つまらないわハニー。蝶々はもう食べてしまったし、お洋服は全て土に還してしまった。あたし達ってふたりぽっちで世界に取り残されたみたいね。(彼女の言うつまらないは、寂しさとやるせなさに同義であった。そこから寂しさとやるせなさにも諸感情が派生していって、張り巡らされた蜘蛛の糸みたいに彼女の内部は複雑さを呈していた。無論、蜘蛛の糸ほど整然として美しい物ではなかったけれど。幼女がぐちぐちとクレヨンで黒く拙く塗り潰したみたいに荒れた心と、その痛みを最早認識出来ない頭は、比翼連理の理から外れて歩き出す。そうして吐き出された言葉は結局夢路を往くかのように覚束無くて、聞く者に虚しさを与えて。それでもこの場には彼女の抱き締めたテディベアしか居なかったから、深みに沈んでいったのは幸せそうに笑う彼女だけ。)
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