悪魔は、召喚師と共に世界を救う。(バトル)

【或る青年と悪魔の物語】

『………なあ、あんた。大丈夫か？』

奇妙なイントネーションの言葉が聞こえる。

うっすら開けた瞳に映ったのは、

目が覚めるようなド派手なブルーの髪。

俺なんかより何倍も綺麗なオッドアイの瞳。

人形みたいに整っていて、色気漂う顔立ち。

陶器みたいに滑らかそうな色白の肌。

お洒落な藍色のロングコート。

全てが完璧な青年が、俺に手を
差し伸べていた。

「………ほっといて、くれよ」

『アカン、怪我してる奴を放っとけるか！
治せる知り合いんとこ連れてったる！
あんた、名前は何て言うんや？』

「……………リリス」

俺は何故か、名乗ってしまった。

『リリスやな？分かった、しっかり
掴まっときや！』

彼は、俺を背負う。

身長は俺の方が高いが、もやしみたいな
ひょろい体つきの俺など彼は簡単に
持ち上げてしまった。

「………掴まるって、何が…………っ！？」

俺が聞こうとした、その時。

彼は空中に舞い上がった。

『…話は着いてからにしてくれへんか』

焦っているのか、冷淡に吐き捨てられた。

「……………すまない」


『おし、ここや』

彼は乱雑にドアをノックする。

中から眠そうな声が聞こえてくる。

《……はぁい…誰だベー？》

この声は妙に、訛っている。

『俺や、俺。バエル。急患連れてきたんや』

《………バエル…バエル…ああ！
了解、入っても大丈夫だべやー》

バエル。俺を助けてくれた青年は、
ドアを押し開く。

治療室らしき場所には、白衣の女医がいた。

《こんにちは、患者さん。私がここの医師で
レラジェだべ》

のんびりとしたような喋り方。

その割には、妙に蠱惑的な体つき。

赤い口紅を引いた、美しい顔立ち。

《んじゃ、治療していくべ。
ちょっと眠っててもらえる？》

その言葉を聞くと、何故か眠くなってきた。

『……あんたには、俺の目的を達成するまで
生きててもらわへんと困るんや』

青年の声が聞こえた、気がした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この世界には、二つの種族が棲んでいる。

一つは、我ら人間。

もう一つは、悪魔たち。

二つの種族は共存できていた、筈だった。

ある日悪魔の世界で反乱が起き、その影響は
人間界にまで及んだ。

人間界には魔界の生物【霊獣】たちが蔓延り、
人間たちは滅びを待つのみ…と、思われた。

しかし人間とて、対抗手段を講じた。

悪魔たちを呼び出してしまえばいい、と。

悪魔たちは反乱を止め、元凶である創世神を
滅ぼすために。

人間たちは【霊獣】を倒し、また平和に
暮らすために。

二つの種族は、それぞれのために闘う。

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【優遇】

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【冷遇】

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