匿名さん 2019-06-10 15:59:22 |
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【 花開く 】
不粋な奴らだなあ、花の良さってやつが分からないかね。
( 久方振りの休暇申請書と共に政府から送られて来た、現世のとある地方で行われるという椿の博覧会に関するパンフレット。審神者である自分が花好きと知ってか知らずか、要は『休暇を使って此処へ行け』という事なのだろう。おまけと言わんばかりに、休暇申請書には『刀剣一振の携行を許可する』という一文が添えられていた。怪しすぎる、と憤慨する初期刀を「この場所で何か起きるなら、それを止めるのが自分の役目だ」と宥めて現地に到着したのが今朝の事。博覧会は何事もなく進み、自分も珍しい品種を見たり専門家と育て方について議論する事が出来、現世での休暇を満喫していた。いくつかの苗木を本丸用に購入し、椿の形を模した菓子を短刀たちへのお土産として選び、このまま何も起こらないかもしれないと能天気に構えていたその時だった。地響きと共に空が裂け、澄んだ青から絵の具をぐちゃぐちゃに混ぜたような歪んだ色へと変化していく。博覧会には政府の人間も紛れていたようで、何事かと慄く一般人を遠くへと避難させているのが横目に見え、自分が呼ばれた意図を思い出す。会場には次々と雷に似た閃光が落ち、芝生や展示された花々を焦がしていった。雅を好む刀剣が見たら激して怒りそうだと呑気な事を考えていると、数歩先に閃光が放たれる。びりびりと場の霊力を震わせて顕れた其れは、自分の何倍もある図体より更に大きな業物を肩に担ぎ、眉を顰めたくなる程の瘴気に満ちている ──大太刀。敵の怪しく光る瞳が自分を捉え、言葉として意味を成さない唸り声が零れ落ちる。刀剣たちは普段こんなに恐ろしいものと対峙しているのかと改めて実感すれば、自らを奮い立たせるように大きく深呼吸をした。ゆっくりと瞼を閉じ指先に霊力を込め、彼の刀の瞳の色を、戦う様を、刀身の美しさを思い浮かべると、溢れんばかりの桜が花開いて辺りに舞い。信頼する付喪神に祈る様に両手を合わせると同時にその名を喚び、 )
──頼む!手を貸してくれ、“ ”!
( / ロルを回すのが久し振りのためつらつらと駄長文になってしまいました。もし続けて下さる方がいましたら、どの刀剣でも構いませんのでお好きな刀を顕現させてください。素敵なお題と場所をありがとうございました!)↓
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