匿名さん 2019-06-10 15:59:22 |
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【温い雨】
(雨の染み込んだ服がじっとりと身体に纒わり付いて気持ち悪い。不快感に顰めた顔を上げボタボタと水の滴る髪を雑に払ってみても、なお降り続く雨に容赦なく顔を打たれ視界が歪む。
頭が冷えて丁度良いのではないかと鞄に傘をしまったまま濡れ鼠になってはみたものの、存外温い雨は不快感を募らせるだけに終わってしまった。
濡れて鬱陶しい髪をかき上げてみても先刻の二人が脳裏から離れない。
見上げる曇天もそこだけ晴れているかのような幸せそうな笑顔と相合い傘の後ろ姿が焼き付いて。焦げて異臭を放つ前に二人に気付かれないよう逃げ帰れた事だけは幸いだ。
ー傷付いても悩んでも諦めず恋するあの子を好きだと気付いたのはいつだったか。芽生えた時には終わる恋だった。それでもあの子の幸せが叶う時まで、傍らで励ましたかった。あの子に頼られ、側に居ることを許される時間を手放せなかった。そして、あの子が思いを遂げた今、もう、)
こんなの、とっくに分かってた事なのになぁ…
(ふと、雨に混じって聞こえる水溜まりを踏み荒らす音が自分を追いかけ背後で止まる。次いで肩越しに息を切らした相手の声が聞こえ溜め息が漏れた。ああ、君も僕と同じなんだね。届かない相手へ手を伸ばし続ける様は鏡を見ているようで、滑稽過ぎて笑ってしまう。止まない温い雨が頬を撫でる感触に今は感謝さえしながら、口元で笑みを型取り相手を振り返った。)
…僕も大概だけどさ、君も相当馬鹿だよね?
(/お題と場所お借りします!夏に書き始めてもう秋真っ直中になってしまいました。AxB←C←Dな恋愛模様のC視点を書いたつもりなのですが詰め込みたい事あり過ぎて纏まらない…!
性格もロルも面倒くさいCを雨の中追いかけて下さるDさんがもしいらっしゃいましたら至福の極みです! ↓ )
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