匿名さん 2019-06-10 15:59:22 |
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□ 放課後 / 微bl注意
( 規則正しい蝉の鳴き声、そして部活動に勤しむ生徒達の声や物音。開いた窓から流れ込む、まだ涼しげな風にカーテンと彼の髪が揺れる。机に覆い被さるようにして眠りこけた待ち人は、依然揺蕩う世界から抜け出せないようで。諸用を終え教室に戻って来たのは数秒前。ちゃんと待ってるからな、と豪語した癖に心地好い静けさと睡魔に負けているではないか。呆れ半分肩を竦めては前の席に腰掛け、逆方向へと座り変える。丁度真向かう形となれば、初夏の風にそよぐ栗色の髪にそっと手を伸ばした───ところで、ぴたりと手を止める。触れてしまえば"何か"が壊れそうだ。しかし密かに思いを寄せる相手の、あまりにも無防備な姿にはやはり心中鬩ぎ合うものがあり。柔らかな髪の前、寸で下ろした片手は終ぞ行き場を失い宙を遊ぶ。彼への恋心を自覚した何年も前から狂いっぱなしの調子は、世に言う拗らせ恋愛に当て嵌るのであろう。今かて、指一本触れられぬ己に心中で盛大な溜息を吐き。ぶわり。突如大きく開いた窓から一陣の風が舞い込む。仰ぎ見た一面の青空は、雲ひとつなく鮮明に網膜に焼き付く。嗚呼、今年も彼との夏が始まる。 )
( / 素敵なトピに巡り会えた記念にひとつ。青春真っ只中な初夏の男子高校生を描きました。如何せん思い付きの駄文なのですが、もどかしさや爽やかさを感じて頂ければ幸いです。 )
〆
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