匿名さん 2019-06-10 15:59:22 |
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□ジューンブライド
(六月、東京、典型的梅雨型気圧配置。どうせならば大雨が降ればいいと思った。警報が出るくらいに、暴風を伴い雷を引き連れた大荒れの天気になればいいと思った。それが叶う時期だった。だというのに、花嫁という名の盗人は晴天のもと祝福の嵐を注がれて幸せそうに笑っている。誰かが言った『お日様みたいな笑顔ね』と。悔しい、悔しい、悔しい。あの阿婆擦れは私からあの人を盗ったのに、ねえ誰か聞いて、あの人の横を歩くのは私の筈だったのよ。グラグラと腹の底で煮え滾るどす黒い感情は今にも溢れ出しそうで、それでも唇を噛み締めて拳を握り締めて耐え忍ぶしか出来ない自分にまた自嘲の笑みが口の端に乗る。式を邪魔するつもりで着てきた淡い淡い水色のパーティードレスは、それでも完全な白色じゃない。こんな時ですら意地の張れない自分が虚しかった、きっとこんな虚勢に気が付いたのは新郎新婦だけだろう。否、幸せ絶頂の彼等の目には少しも止まらないかもしれない。酷く泣き叫びたかったけれど、ちっぽけなプライドはそれを許さない。目元が熱い、喉奥が痛い。それでも心を殺して口を開くのだ。)ご結婚、おめでとうございます。
(/在り来りな悲劇と駄文を失礼致します。もうすぐ梅雨入りですね、地域によっては梅雨入りしている所もあるのでしょうか。どう続けろと、と言われそうな内容ではありますが折角なので矢印は下に向けておきます。素敵な企画とスレに感謝を。)
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