匿名さん 2019-06-10 15:59:22 |
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【助けて頂いた鶴です】
(鳥頭という言葉がある。数歩歩けば物事をぽかんと忘れてしまうという意味だったはず、多分。でも今の自分にはその言葉は当てはまらない。なぜなら、自分の瞳はしっかり対象を捉えているからである)
―そこの人!待ってくれ!
(自分に背を向けて前を走っていく人影を真っ直ぐ追い掛ける。あの後ろ姿、間違いない。1か月前に愚かにも害獣除けの罠に嵌った自分を助けてくれた人間だ。生物としての種類が違うにしろ、自分に向けられた慈愛の瞳を忘れることができなかった。自分は鶴として生を受けてウン〇年だが、この執念が実を結んだのか神様の気まぐれかは知らないが、―なんと、二本足で目の前の恩人目掛けて走っているのだった。つまり、どうしてこんな天変地異が起こっているのかは謎であるが、恩返しをしたい一心で自分は鶴から人間に姿を変えることに成功したらしい。ただ自分が今どんな姿をしているのかは確認できていない。手で顔や体をぺたぺたと触って確認済だが、人間と同じく服を着ているし顔に嘴はついていなかった。鶴と人間のキメラにはなっていないことは最低保証されているらしい。とにかくだ。とにかく、自分を助けてくれた、目の前の人間に一言お礼が言いたいだけなのだ。しかし前方の恩人はなおも自分に背を向けて走り続けている)
…っはぁ!はぁ!待ってくれって言ってるだろ!俺二本足で走るの初めてなんだから手加減してくれよ!!
(肩でぜぇぜぇと息を繰り返しながら、半ばやけくそで言葉を発する。せめて顔を見てお礼が言いたいだけなんだ。『あの時助けてもらった鶴です。ありがとうございました』、と)
(/久しぶりにこの界隈に戻ってきたのでリハビリがてらお邪魔致します!謎シチュエーションすぎますが、もし続けてくださる方がいらっしゃれば…ということで矢印を置いていきます!)
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