匿名さん 2019-06-10 15:59:22 |
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《紫陽花・雨上がり・傘》
ねえ、やっぱり私雨好きだな。えぇ?じめじめしてて嫌い?あー、もったいない!この雨の良さがわかんないなんて!
(夏休み前の梅雨の真ん中、家が隣の幼馴染といつものように帰る道。空からは神様が泣いているのか、ばらばらと傘に水滴が打ち付けられる。しかし朝のバケツをひっくり返したような豪雨よりかは幾分かましになっていて、もうすぐで晴れる気がする。灰色の重たい雲のせいで幼馴染は嫌いと言っているこの天気も私は好きだ。雨が降っただけ、ただそれだけでいつもとちょっとだけ違う世界が見られる。なんだか得した気分になるのだ。ランドセルをカタカタいわせながら水溜りに突撃。紫のかわいい長靴を履いているので平気だ。ぱしゃん、水溜りの水が跳ねて飛ぶ。多分お母さんの前でやると怒られるけれど、今一緒なのはお母さんではなく幼馴染。何等問題はない!
段々と弱くなっていた雨音はついに止んでしまって、空の重たい雲がひとすじの光に破られる。)
あ、晴れた!
待って、前言撤回、私雨上がりの方が好き!
(光はさっきまで降っていた雨粒に当たってキラキラと光っている。いつもはパッとしない誰かの家の花壇に咲いている紫陽花も、今は輝いていてとっても綺麗だ。長靴と同じく紫色の傘を閉じ、上記を宣言する。雨は雨上がりの準備期間。そう思えば雨だって同じくらい好きだけど、やっぱり全てがキラキラ輝いているこの景色は雨上がりにしか味わえない。目線を前に戻すと、もうゴールは目前だった。)
じゃあね、また明日!
(そう言って幼馴染に別れを告げればドアノブに手を掛けて開く。雨上がりのあの景色がいつまで見られるかはわからないけれど、心の中に大事に仕舞っておこうと思った。)
/(リハビリ失礼)
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