▽__ 2019-05-29 22:46:39 |
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(軽く咳払いをして喉の調子を確かめつつ髪の乱れを整えて、前を見据えれば其処には目的の恩人の家。つい大股で足を踏み出してしまうのを堪え、女性らしく小さな歩幅で扉の前まで辿り着き、手の甲で控えめに扉を二回ほど叩いて「こんばんは、旅の者です。道に迷ってしまって…、」となるだけしおらしく声を上げ。本当は"こんばんは、先日助けていただいた鶴です。"と馬鹿正直に伝えてしまおうかとも思ったけれど、恩を押し付けにきた訳ではないのだから正体は秘密。どう恩を返そうかというのは考え中だが、まずは家に上がり込むところから。考えるのはその後でも遅くはあるまい。女がひとりでこんな日の暮れる時間に迷子になっていると知れば、優しい人間のことだからきっと家に上げてくれるだろう。どきどきと胸を高鳴らせながら中からの応答を待ち、所在なさげに自身の髪を弄び)
(/大変お待たせしました、こちら初回文です。これからどうぞ宜しくお願い致します!)
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