赤の女王 2019-05-27 15:30:54 |
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――……、(引き留める様に手を取られれば自然と顎を引いて彼女へと顔を向ける。眉間に触れた指先の柔らかさにより一層と罪悪感にも似た苦い思いが込み上げて、ゴクリと生唾を飲みこんだ。決まりが悪そうに視線を右から左へと一度揺らし、「知らねぇ」その癖、口を付いたのは余りにもつっけんどんとした返事。それでも彼女の事を直視できないのは彼女の無垢さを十二分に知るからこそ、だからこそ彼女が己を含む他の住人に対して持つ無邪気さ故の信頼にヒビを入れ兼ねないと思うからか。「お前が思ってるより、良い奴ばっかじゃねぇんだよ」普段は上手く爪を隠しているのは自身だって同じ。であればこそ強くも言い切れない情けなさを浮かべつつ前髪を掻き毟った後にガっと掻き上げて「お前は馬鹿だからこれだけ忘れんな。――此処にはお前を平気で殺そうとするやつも、お前を女としてみる奴も沢山いる。」逸らしていた視線を再度彼女へと戻すと「俺はお前の事、この国の中じゃ気に入ってんだ。お前が殺されても傷ついてもムシャクシャして嫌だ」伸ばした人差し指で彼女の額をグリグリと押して、捻くれ者にしては珍しい本音を吐露しようか)
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