赤の女王 2019-05-27 15:30:54 |
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(らしくない行動をした自覚が有るだけに戸惑いが大きく、モヤモヤと燻るような感情さえもが嫉妬だと繋がるには難しく。先を歩くその動きに合わせて大きく太い尻尾の先をずるり、ずるり、と引き摺って。彼女が己についてくると信じて疑わない傲慢さを持っている事にだって気付かずに当然と自惚れておきながら嫉妬をするなんて誰が聞いたって笑うに違いなく。背中に受けた衝撃も何のその、彼女の体躯くらいは何て事無く支えて「……此処じゃ無ぇとこ。ここに居たら手ぇ出したくてイライラしてくんだよ」仕事が好きな訳じゃない、と言いつつも自由を与えられてしまえば手持ち無沙汰に落ち着かない。いー、と口を横に開きながら顔をクシャりと渋めて「明日も明後日も休みだとよ。命令だ」彼女がじゃれつく行為を咎めることなくそのまま進むのはすっかり慣れた事だからか。そのまま自らの今後を伝えると全く持って無計画のそれに口を噤んで。「____適当に歩こうぜ」暗に行き先がない事を含ませて、どこ行くでもないそんな当てなき散歩とは乙女心を分かっていない表れで。それでいて気を使わない自身らしいその誘いが出来るのもまた彼女くらいであり、「ぶらっと森の中進んでりゃ何処かに出ンだろ」べ、と先の割れた舌先を覗かせながら悪戯に笑みを浮かべ大雑把な言葉を付け加えて)
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